学童のトラブルとは?よくある事例と相談先・伝え方について
学童学童でトラブルがあったと子どもから聞いたとき、どこまで親が動くべきなのか、誰に何を伝えればいいのかは、すぐには判断がつかないものです。
子どもの話だけでは状況がつかみきれず、職員に相談するにしても、言い方次第で関係がこじれないかと心配になることもあります。
反対に、自分の子どもが相手にけがをさせてしまった、強く言ってしまったと連絡を受けたときも、謝り方や今後の関わり方に悩みます。
学童のトラブルについて、よくある事例、被害側と加害側それぞれの対応、相談先、辞めるかどうかの判断まで順に確認していきます。
学童のトラブルとは?
学童のトラブルとは、子ども同士のけんかやけが、いじめ、物の取り合いや紛失、職員の対応への不満、保護者同士の関係などのことで、学年の異なる子どもが長い時間を一緒に過ごす学童では起きやすいものです。
学童は、1年生から6年生までの子どもが同じ部屋で放課後を過ごす場所です。
学校のように学年やクラスで分かれていないため、年齢や体の大きさの違う子どもが一緒に遊ぶ中で、さまざまなトラブルが起こります。
よくあるトラブルの事例
学童でよく起きるトラブルを、相手ごとに分けると次のとおりです。
| 相手 | トラブルの例 |
|---|---|
| 子ども同士 | 遊びの中でのけんか、叩いた・押したなどのけが、悪口や仲間外れ、いじめ、おもちゃや持ち物の取り合い |
| 職員 | けがやトラブルの連絡がなかった、説明が足りない、子どもへの声かけや叱り方への不満 |
| 保護者同士 | 子ども同士のトラブルをきっかけにした保護者間の行き違い、お迎えの際のやりとり |
| 持ち物・環境 | 持ち物の紛失や破損、部屋の狭さや騒がしさ |
同じトラブルでも、子どもの年齢や関係によって、見守るだけでよいものと、大人が介入すべきものがあります。
一度きりのけんかであれば、子ども同士で仲直りし、自然に解決することも多くあります。
一方で、特定の子どもから繰り返し嫌なことをされている、けがをするほどの暴力がある、持ち物を何度も隠されるといった場合は、いじめに発展している可能性もあるため、早めに学童に相談することが必要です。
けがの事故は年間776件報告されている
こども家庭庁が公表した「令和7年教育・保育施設等における事故報告集計」では、令和7年1月から12月までの1年間に、放課後児童クラブで776件の事故が報告されています。
報告の対象は、死亡事故や意識不明事故、治療に要する期間が30日以上の負傷や疾病を伴う重篤な事故で、776件のうち670件が骨折でした。
発生場所は、施設内の屋外が381件、施設内の屋内が275件、施設の外が120件となっており、外遊びの時間に多く起きていることがわかります。
死亡事故も1件報告されており、プール活動中の事故とされています。
子ども同士がぶつかったり、遊具から落ちたりといった日常の遊びの中でのけがも、トラブルのきっかけになりやすいものです。
学童でトラブルが起きやすい理由
国の基準では、学童の職員は、おおむね40人以下の子どものまとまりごとに2人以上と定められています。
1人の職員が見る子どもの数が多いため、子ども同士の小さなやりとりまですべてを見ていることは難しく、トラブルの一部始終を職員が見ていないこともあります。
学校の授業が終わったあとの時間帯は、子どもが疲れていたり、学校での出来事を引きずっていたりして、気持ちが高ぶりやすい時間でもあります。
夏休みなどの長期休みは、朝から夕方まで同じ顔ぶれで過ごすため、子ども同士の関係がこじれやすくなります。
高学年と低学年では体の大きさや力の差が大きいため、高学年にとってはふざけ合いのつもりでも、低学年がけがをしてしまうことがあります。
このように、学童のトラブルとは、子ども同士のけんかやけが、いじめ、物の取り合いや紛失、職員の対応への不満、保護者同士の関係などのことで、学年の異なる子どもが長い時間を一緒に過ごす学童では起きやすいものです。
次は、子どもが学童でトラブルにあったときの対応を確認します。
子どもが学童でトラブルにあったときの対応
子どもが学童でトラブルにあったときは、まず子どもの話を落ち着いて聞いて記録し、事実と求めることを分けて学童に伝え、相手の保護者とは直接やりとりせずに学童を通して対応することが基本です。
子どもがけがをしたり、嫌なことを言われたりしたと聞くと、すぐに相手の家庭に連絡したくなることもあります。
しかし、子どもの話だけでは状況がわからないことも多いため、順番を踏んで対応することが、トラブルを大きくしないための近道です。
子どもの話を聞き、記録する
子どもから学童での出来事を聞いたときは、責めたり誘導したりせず、子どもが話すままに聞くことが大切です。
いつ、どこで、誰と、何があったのか、そのとき職員はどうしていたのかを、子どもの言葉のまま書き留めておきます。
けががある場合は、写真を撮っておくと、学童に伝えるときや病院を受診するときに役立ちます。
同じようなことが何度も起きている場合は、日付ごとに記録を残しておくと、学童に状況を正確に伝えることができます。
子どもがうまく話せない場合は、無理に聞き出そうとせず、「学童で楽しかったことはあった?」「嫌だったことはあった?」など、答えやすい質問から始めると話しやすくなります。
子どもの話は、本人の受け止め方が入っていることもあるため、記録する際は子どもの言葉と、親が推測したことを分けて書いておくようにします。
学童への伝え方
学童に伝えるときは、お迎えの慌ただしい時間ではなく、職員と落ち着いて話せる時間を作ってもらうようにします。
伝える内容は、次の3つに分けて整理しておくと、職員も状況をつかみやすくなります。
- 子どもから聞いた事実(日時、場所、相手、内容)
- 子どもの今の様子(けがの状態、学童に行きたがらないなど)
- 学童に求めること(事実の確認、様子の見守り、今後の対応の説明など)
「相手の子が悪い」と決めつけるのではなく、「このように聞いているので、確認してほしい」という伝え方をすると、職員も事実を確かめやすくなります。
国の「放課後児童クラブ運営指針」では、事故やけがが起きた場合は、速やかに適切な処置を行うとともに、子どもの状況などを速やかに保護者に連絡し、運営主体と市町村に報告することが示されています。
けがについて学童から連絡がなかった場合は、そのことも含めて確認を求めることができます。
話し合いのあとは、学童がどのような対応をとるのか、いつ頃に結果を教えてもらえるのかを確認しておくと、その後の様子を見守りやすくなります。
相手の保護者と直接やりとりしない
子ども同士のトラブルで、相手の保護者に直接連絡をとると、子どもの話の食い違いから保護者同士の対立に発展することがあります。
学童で起きたトラブルは、学童の職員が双方の子どもから話を聞き、事実を確認したうえで、それぞれの保護者に伝えるのが基本です。
相手の家庭と話し合う必要がある場合も、学童の職員に間に入ってもらい、場を設けてもらうようにします。
お迎えの際などに相手の保護者と顔を合わせたときも、その場でトラブルの話を持ち出すことは避け、学童での話し合いの場に任せるほうが、子ども同士の関係にも影響を残しにくくなります。
このように、子どもが学童でトラブルにあったときは、まず子どもの話を落ち着いて聞いて記録し、事実と求めることを分けて学童に伝え、相手の保護者とは直接やりとりせずに学童を通して対応することが基本です。
次は、子どもが学童でトラブルを起こしたときの対応を確認します。
子どもが学童でトラブルを起こしたときの対応
子どもが学童でトラブルを起こしたときは、学童から事実を確認したうえで、子どもと話し、学童を通して相手の家庭に謝罪し、同じことを繰り返さないための関わり方を学童と共有することが大切です。
自分の子どもが相手にけがをさせたと聞くと、すぐに謝らなければと焦る気持ちになります。
まずは何があったのかを正確に知ることが、適切な謝罪と、その後の関係の修復につながります。
学童から事実を確認する
学童から連絡を受けたら、いつ、どこで、どのようなことがあったのか、相手の子どものけがの状態はどうかを確認します。
職員が見ていた範囲と、子どもたちから聞き取った内容を分けて教えてもらうと、状況を正しくつかみやすくなります。
家に帰ったら、子どもにも何があったのかを聞き、子どもなりの言い分や気持ちを受け止めたうえで、相手がどう感じたかを一緒に考えます。
謝罪の仕方
相手にけがをさせた場合や、相手の家庭が傷ついている場合は、保護者として謝罪することが必要です。
謝罪の方法は、学童の職員に相談し、相手の家庭の意向を確認してもらったうえで決めるようにします。
直接会って謝るのか、手紙を渡すのか、学童を通して気持ちを伝えてもらうのかは、相手の家庭の受け止め方によって変わります。
けがの治療費などが関わる場合は、学童が加入している保険で対応できるかどうかも、学童に確認しておきます。
謝罪の際は、子ども同士のトラブルであっても、相手の子どもがけがをしたことや嫌な思いをしたことに対して、保護者として誠実に気持ちを伝えることが大切です。
相手の家庭から強い言葉を受けることがあっても、その場で反論せず、学童の職員を交えて冷静に話し合うようにします。
同じことを繰り返さないために
トラブルのあとは、どのような場面で行動が起きたのかを学童と共有し、家庭と学童で同じ関わり方をすることが大切です。
叩いてしまう前に職員に助けを求める、嫌なことがあったら言葉で伝えるといった約束を、子どもと一緒に決めておきます。
同じようなトラブルが続く場合は、子どもが学童で疲れやストレスを抱えていないか、学校で何かあったのではないかといった背景にも目を向けます。
必要に応じて、学童の職員と家庭での様子を伝え合う時間を定期的に設けてもらうと、小さな変化にも早く気づけるようになります。
トラブルを起こしたことだけを強く叱るのではなく、相手の気持ちを考えられたことや、謝ることができたことも認めることで、子どもが次の行動を変えやすくなります。
このように、子どもが学童でトラブルを起こしたときは、学童から事実を確認したうえで、子どもと話し、学童を通して相手の家庭に謝罪し、同じことを繰り返さないための関わり方を学童と共有することが大切です。
次は、学童のトラブルの相談先を確認します。
学童のトラブルの相談先
学童のトラブルの相談先は、まず学童の職員と責任者、次に運営事業者や苦情受付の窓口、それでも解決しない場合は市町村の担当課という順番で考え、虐待やいじめが疑われる場合は外部の相談窓口も利用できます。
相談先を順番に進めていくことで、それぞれの段階で改善の機会が生まれ、問題を必要以上に大きくせずに済みます。
ただし、子どもの安全に関わる深刻な問題の場合は、段階を飛ばしてすぐに外部に相談することも必要です。
学童の職員・責任者と運営事業者
最初の相談先は、子どもを毎日見ている学童の職員と、その学童の責任者です。
職員に伝えても対応が変わらない場合や、職員の対応そのものに問題がある場合は、学童を運営している事業者に相談します。
公立民営の学童では、社会福祉法人やNPO法人、株式会社などが運営を任されているため、運営事業者の本部に連絡することになります。
相談の際は、これまでに学童へ伝えた日時と内容、学童からの回答を記録にまとめておくと、話がスムーズに進みます。
苦情解決の仕組み
運営指針では、学童に対する要望や苦情を受け付ける窓口を設置し、子どもや保護者に周知することが示されています。
苦情への対応は市町村と運営主体が連携して進め、苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員を設置して、解決の手順を整理しておくこととされています。
この仕組みは、あらかじめ子どもや保護者に知らせておくこととされているため、入所の際の案内や重要事項の説明に書かれていないかを確認します。
要望や苦情には迅速かつ適切に、誠意をもって対応し、その内容を職員の間で共有して事業の改善に生かすことも求められています。
市町村の担当課と外部の相談窓口
学童や運営事業者に相談しても解決しない場合は、市町村の学童保育の担当課に相談します。
市町村は学童の運営を監督する立場にあり、運営指針でも、事故やけがについては運営主体と市町村に報告することが示されています。
虐待やいじめが疑われる場合は、次のような外部の相談窓口も利用できます。
- 児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」:虐待を受けたと思われる子どもを見つけたときや、虐待を受けているかもと思ったときに、児童相談所に通告・相談できる
- 子どもの人権110番(法務省):0120-007-110、平日8時30分から17時15分まで、いじめや虐待などの子どもの人権問題の相談電話
学校とまたがるトラブルの場合
学童に通う子どもの多くは、同じ小学校に通っているため、学童でのトラブルが学校でも続いたり、学校でのトラブルが学童に持ち込まれたりすることがあります。
運営指針では、学童と学校が子どもの生活の連続性を保障するために情報交換や情報共有を行うことが示されています。
学校と学童の両方で起きている場合は、それぞれに状況を伝え、学校と学童で情報を共有してもらえるよう頼むことができます。
学校で起きたことは学校に、学童で起きたことは学童に相談するのが基本で、どちらで起きたトラブルかを分けて伝えることで、それぞれが責任を持って対応しやすくなります。
このように、学童のトラブルの相談先は、まず学童の職員と責任者、次に運営事業者や苦情受付の窓口、それでも解決しない場合は市町村の担当課という順番で考え、虐待やいじめが疑われる場合は外部の相談窓口も利用できます。
次は、学童のトラブルで辞めるか判断するポイントを確認します。
学童のトラブルで辞めるか判断するポイント
学童のトラブルで辞めるかどうかは、相談しても改善が見られないか、子どもが学童に行くことを強く嫌がっていないかを見て判断し、辞める場合は次の居場所と見守りの方法を先に決めておくことが大切です。
トラブルが続くと、子どものために学童を辞めたほうがいいのではと考えることもあります。
一方で、学童を辞めると放課後の居場所がなくなるため、判断は慎重に行う必要があります。
改善が見られない場合と子どもの気持ち
学童に相談したあと、職員の見守りが増えた、相手の子どもとの関わり方が変わったなど、改善が見られるかどうかを一定の期間見守ります。
相談を重ねても状況が変わらない場合や、子どもが学童に行くことを強く嫌がり、体調にまで影響が出ている場合は、無理に通わせ続けないことも選択肢です。
子どもの気持ちを聞く際は、学童の何が嫌なのかを具体的に聞き、トラブルの相手が原因なのか、学童の環境そのものが合わないのかを見極めます。
トラブルの相手との関係が原因であれば、職員に席や遊ぶ場所を工夫してもらうことで解決することもあり、学童そのものを辞める必要はない場合もあります。
学童を変える・辞めるときの居場所と見守り
学童を辞める場合は、別の学童に移る、民間学童を利用する、習い事や留守番を組み合わせるなど、次の居場所を先に決めておきます。
公営の学童は定員に空きがないと入れないことがあるため、別の学童に移りたい場合は、空き状況を市町村に確認してから手続きを進めます。
学童を辞めて習い事などで放課後を過ごす場合は、子どもが一人で移動する場面が増えるため、着いたことと帰ったことを保護者が確認できる仕組みを用意しておくことが大切です。
LINE入退クラウドは、塾や習い事の教室で子どもがQRコードやICカードをかざすだけで、教室に着いた時刻と出た時刻を保護者のLINEに自動で通知する入退室管理システムです。
入退室の通知を導入している教室であれば、保護者が仕事中でも、子どもが教室に着いたことと帰路についたことをその場で確認できます。
このように、学童のトラブルで辞めるかどうかは、相談しても改善が見られないか、子どもが学童に行くことを強く嫌がっていないかを見て判断し、辞める場合は次の居場所と見守りの方法を先に決めておくことが大切です。

