学童の指導員がひどいと感じたら?不適切な対応の見分け方と相談先
学童学童の指導員の対応がひどいと感じても、毎日子どもを預けている手前、どこまで言っていいのか迷う場面があります。
子どもから「怒られて怖かった」と聞いたり、お迎えのときに職員の言葉づかいが気になったりすると、普段どのように過ごしているのか不安になります。
一方で、子どもの話だけでは何があったのかはっきりせず、どの程度なら問題として伝えるべきなのか判断しにくいこともあります。
学童の指導員がひどいと感じたときの考え方、問題になりやすい場面、取るべき対応、改善しないときの選択肢まで順に確認していきます。
学童の指導員がひどいと感じたら?
学童の指導員がひどいと感じたら、まず事実を確認して記録し、施設の責任者や運営主体の苦情窓口に相談することが基本で、虐待に当たる行為については、令和7年10月から市町村への通報が義務になっています。
学童の指導員は、国の制度では「放課後児童支援員」や「補助員」と呼ばれ、子どもへの接し方について法律や国の基準で決まりが設けられています。
まずは、指導員がしてはならないことと、通報の仕組みを確認します。
指導員がしてはならないこと
学童の設備と運営については、国が「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」を定めています。
この基準では、職員について、次のように定められています。
「放課後児童健全育成事業者の職員は、児童に対し、法第33条の10第1項各号に掲げる行為その他当該児童の心身に有害な影響を与える行為をしてはならない。」
ここでいう「法第33条の10第1項各号に掲げる行為」は、児童福祉法で定められている、職員による虐待に当たる行為のことです。
つまり、学童の指導員は、虐待に当たる行為だけでなく、子どもの心身に有害な影響を与える行為もしてはならないとされています。
虐待に当たる4つの行為
児童福祉法第33条の10で定められている、職員による虐待に当たる行為は、次の4つです。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 身体的虐待 | 身体に外傷が生じる、または生じるおそれのある暴行を加えること |
| 性的虐待 | わいせつな行為をすること、またはわいせつな行為をさせること |
| ネグレクト | 著しい減食や長時間の放置、ほかの子どもによる虐待に当たる行為の放置など、職員としての業務を著しく怠ること |
| 心理的虐待 | 著しい暴言や著しく拒絶的な対応など、著しい心理的外傷を与える言動を行うこと |
指導員が子どもに手を上げた、子どもを強く突き飛ばした、人格を否定するような言葉を繰り返し浴びせたといった行為は、内容によってはこれらに当たる可能性があります。
保護者が虐待に当たるかどうかを自分で判断できない場合でも、気になることがあれば市町村に相談することができます。
令和7年10月から通報が義務になった
令和7年に成立した改正児童福祉法により、令和7年10月1日から、保育所などの職員による虐待についての通報が義務になりました。
こども家庭庁の資料では、この通報義務の対象となる施設や事業に、放課後児童健全育成事業、つまり学童が含まれています。
学童の場合、通報先は学童を所管する市町村です。
宇都宮市のページでは、学童の職員による虐待を目撃したり見聞きしたりした場合は市に連絡するよう呼びかけており、通報者の個人情報は守られること、匿名でも通報できることも案内されています。
また、目の前で子どもが暴行されているなど緊急の場合は、警察に通報するよう案内されています。
このように、学童の指導員がひどいと感じたら、まず事実を確認して記録し、施設の責任者や運営主体の苦情窓口に相談することが基本で、虐待に当たる行為については、令和7年10月から市町村への通報が義務になっています。
次は、指導員の対応がひどいと感じる場面を確認します。
指導員の対応がひどいと感じる場面
指導員の対応がひどいと感じる場面には、子どもの話を聞かずに対応する、怒鳴ったりきつい言葉を使ったりする、指導員によって対応に差があるといったものがあり、その背景には指導員の働く環境の問題も指摘されています。
指導員の対応に問題があるかどうかは、一度の出来事だけでなく、同じような対応が続いているかどうかも含めて見ていく必要があります。
実際にどのような場面で問題が起きているのかを確認します。
子どもの話を聞かずに対応する
東京新聞の子育てサイト「東京すくすく」の記事では、横須賀市の民設民営の学童で、小学1年の子どもが年上の子どもから意地悪をされたと訴えた際、学童の代表者が、子どもに話を聞く前に相手の保護者へクレームとして報告したという事例が紹介されています。
同じ記事では、この子どもが移った別の学童では、トラブルがあったときに子どもの話を聞いて橋渡しをする対応が取られていたことも書かれています。
国の「放課後児童クラブ運営指針」では、子どもの間でいじめなどの問題が起きたときには、早期に対応し、放課後児童支援員などが協力して適切に対応することとされています。
トラブルが起きたときに子どもの話を聞かずに一方的に対応することは、運営指針が求める対応とは異なるといえます。
怒鳴る・きつい言葉を使う
同じ東京すくすくの記事では、保護者が、学童の代表者が子どもを怒鳴る場面を目撃したことも書かれています。
子どもを注意する場面があっても、大声で怒鳴る、人格を否定するような言葉を使う、ほかの子どもの前で恥をかかせるといった対応は、子どもに強い不安や恐怖を与えることがあります。
こうした対応が著しく、繰り返されている場合は、心理的虐待に当たる可能性もあります。
指導員によって対応に差がある
保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」が2026年6月に学童を利用している保護者111人に行った調査では、学童での過ごし方に不安や疑問があると答えた保護者のうち、36.5%が「指導員の質や対応のばらつき」を挙げています。
同じ学童の中でも、指導員によって子どもへの接し方や注意の仕方が違うと、子どもが混乱したり、特定の指導員を怖がったりすることがあります。
子どもが特定の指導員の名前を挙げて嫌がる場合は、その指導員とのやりとりで何があったのかを聞いておくことが大切です。
指導員の働く環境
All Aboutの記事では、全国学童保育連絡協議会が2018年に行った調査をもとに、週20時間以上勤務する指導員の約半数が年収150万円未満で、指導員の約8割が非常勤やパートであることが紹介されています。
同じ記事では、経験5年未満の指導員が約半数を占めることも書かれており、長く働き続けにくい環境が、子どもとの安定した関わりに影響していると指摘されています。
東京すくすくの記事でも、全国学童保育連絡協議会の関係者の話として、指導員の研修に差があることが課題として挙げられています。
指導員の働く環境に課題があるとしても、子どもへの不適切な対応が許されるわけではありませんが、問題を伝えるときに、個人の責任だけでなく学童の運営全体の課題として伝える視点も役に立ちます。
このように、指導員の対応がひどいと感じる場面には、子どもの話を聞かずに対応する、怒鳴ったりきつい言葉を使ったりする、指導員によって対応に差があるといったものがあり、その背景には指導員の働く環境の問題も指摘されています。
次は、指導員の対応がひどいときの対応を確認します。
指導員の対応がひどいときの対応
指導員の対応がひどいときは、子どもから話を聞いて記録したうえで、施設の責任者や運営主体の苦情窓口に相談し、改善しない場合や虐待が疑われる場合は、市町村の担当課に相談や通報をすることが大切です。
指導員の対応に不満を感じたときは、感情的に抗議するよりも、事実をもとに順を追って相談するほうが、改善につながりやすくなります。
どのような順番で動けばよいかを確認します。
子どもから話を聞いて記録する
まずは、子どもから何があったのかを聞きます。
子どもが話しにくそうにしている場合は、「話してくれてありがとう」と伝え、責めずに最後まで聞くようにします。
聞いた内容は、その日のうちに次のような項目で記録しておきます。
- いつ(日付・時間帯)
- どの指導員から、どのようなことをされたか、言われたか
- そのときに周りにいた子どもや職員
- 子どもの様子(泣いていた、行きたがらなくなったなど)
- けがや体の痛みがある場合は、その写真や受診の記録
子どもから聞いた話と、保護者が自分で見聞きしたことを分けて記録しておくと、相談するときに事実を正確に伝えやすくなります。
施設の責任者や運営主体に相談する
記録をもとに、施設の責任者に相談します。
問題の指導員本人ではなく、施設の責任者や運営主体に伝えることで、学童として事実を確認し、対応を考えてもらうことができます。
国の基準では、学童の事業者は苦情を受け付ける窓口を設置することとされており、運営指針では、苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員を置くことが示されています。
施設の責任者に伝えても改善しない場合や、責任者本人の対応に問題がある場合は、運営主体の苦情受付担当者や第三者委員に相談します。
相談したときは、話した内容と学童の回答を、日付とあわせて記録しておきます。
市町村に相談・通報する
学童の中で相談しても改善しない場合や、虐待に当たる行為が疑われる場合は、学童を所管する市町村の担当課に相談します。
厚生労働省が令和5年1月に出した事務連絡では、学童で虐待などの不適切な行為が疑われる事案を把握した場合、運営主体や職員は速やかに市区町村の担当部署に報告することとされています。
保護者が市町村に伝えることで、市町村が学童に事実を確認し、指導や助言を行うきっかけになります。
国の基準では、学童の事業者は、市町村から指導や助言を受けた場合には、それに従って必要な改善を行うこととされています。
このように、指導員の対応がひどいときは、子どもから話を聞いて記録したうえで、施設の責任者や運営主体の苦情窓口に相談し、改善しない場合や虐待が疑われる場合は、市町村の担当課に相談や通報をすることが大切です。
次は、改善しないときに学童を移ることについて確認します。
改善しないときは学童を移ることも考える
指導員の対応が改善しないときは、学童を移ることや辞めることも選択肢になり、その場合は次の居場所を確保したうえで、子どもが着いたことと帰ったことを保護者が確認できる仕組みを用意しておくことが大切です。
子どもが指導員を怖がっている、学童に行くことを強く嫌がっているといった状態が続く場合は、今の学童に通い続けることにこだわらず、ほかの居場所を考えることも必要です。
東京すくすくの記事で紹介された横須賀市の事例でも、保護者が子どもを退所させ、同じ時期に複数の子どもが別の学童に移ったことが書かれています。
転所・退所の前に確認すること
学童を移る場合は、次の学童に入れるかどうかを、今の学童を辞める前に確認しておきます。
学童によっては定員に空きがなく、すぐに入れないこともあるため、市町村の担当課に空き状況や途中入所の手続きを確認します。
見学ができる場合は、子どもと一緒に見学し、トラブルがあったときの対応や、保護者への連絡の方法も聞いておくと安心です。
学童を辞める場合も、指導員の対応についての相談や通報は、市町村に続けることができます。
到着と帰宅を確認する仕組み
学童を辞めたり、次の学童に入るまでの間は、自宅での留守番や祖父母の家、習い事などで放課後を過ごすことになり、子どもが一人で移動する場面が増えます。
自宅で留守番をする場合は、帰宅したら保護者に連絡する、鍵を自分で管理するといったルールを子どもと決めておきます。
習い事に通う場合は、子どもが教室に着いたかどうかを、保護者が仕事中に確認できるかも大切な点です。
LINE入退クラウドは、塾や習い事の教室で子どもがQRコードやICカードをかざすだけで、教室に着いた時刻と出た時刻を保護者のLINEに自動で通知する入退室管理システムです。
このように、指導員の対応が改善しないときは、学童を移ることや辞めることも選択肢になり、その場合は次の居場所を確保したうえで、子どもが着いたことと帰ったことを保護者が確認できる仕組みを用意しておくことが大切です。


