学童へのクレームはどこに?相談先の順番と伝え方のポイント
学童学童の対応に納得できないことがあっても、クレームをどこに伝えればいいのか分からず、そのままにしてしまうこともあります。
毎日子どもを預けている場所だからこそ、職員との関係が悪くならないかと考え、言い出しにくさを感じる保護者もいます。
それでも、子どもが安心して過ごせない状態が続くのであれば、適切な相手に伝えて改善を求める必要があります。
学童へのクレームをどこに伝えるか、施設の中と外の相談窓口、伝え方のポイント、改善しないときの選択肢まで順に確認していきます。
学童へのクレームはどこに?
学童へのクレームは、まず学童の職員や責任者に伝え、次に運営主体の苦情受付窓口や第三者委員、それでも改善しなければ市町村の担当課、さらに都道府県の社会福祉協議会に置かれている運営適正化委員会に相談することができます。
学童には、保護者からの苦情を受け付けて解決するための仕組みが、国の基準や運営指針で定められています。
まずは、その仕組みと相談先の順番を確認します。
学童には苦情を受け付ける仕組みがある
学童の設備と運営については、国が「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」を定め、市町村がこれをもとに条例を定めています。
この基準では、苦情への対応について、次のような内容が定められています。
- 利用者やその保護者からの苦情に迅速かつ適切に対応するため、苦情を受け付ける窓口を設置するなどの措置を講じること
- 市町村から指導や助言を受けた場合は、それに従って必要な改善を行うこと
- 社会福祉法に定める運営適正化委員会の調査にできる限り協力すること
- 苦情の公正な解決を図るため、事業者と職員以外の者を関与させるよう努めること
また、国の「放課後児童クラブ運営指針」では、要望や苦情を受け付ける窓口を設置して子どもや保護者に知らせること、苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員を置くことなどが示されています。
運営指針では、子どもや保護者からの要望や苦情に対して、迅速かつ適切に、誠意を持って対応することも求められています。
学童に苦情を伝えることは、学童の仕組みとして想定されている行動だといえます。
相談先の順番
学童へのクレームは、基本的に次の順番で相談先を広げていきます。
| 順番 | 相談先 | 相談する場面 |
|---|---|---|
| 1 | 担当の職員・施設の責任者 | 日々の対応や子どもの様子について伝えたいとき |
| 2 | 運営主体の苦情受付担当者・苦情解決責任者 | 職員や責任者に伝えても改善しないとき |
| 3 | 第三者委員 | 学童の運営者とは別の立場の人に入ってほしいとき |
| 4 | 市町村の担当課 | 学童の中で解決しないとき |
| 5 | 運営適正化委員会(都道府県社会福祉協議会) | 中立の第三者機関に相談したいとき |
いきなり市町村に伝えるよりも、まず学童に伝えたほうが早く改善につながることもあるため、内容に応じて相談先を選ぶことが大切です。
ただし、子どもの安全に関わることや、職員による不適切な対応が疑われる場合は、学童の中での解決を待たずに市町村に相談することも考えます。
このように、学童へのクレームは、まず学童の職員や責任者に伝え、次に運営主体の苦情受付窓口や第三者委員、それでも改善しなければ市町村の担当課、さらに都道府県の社会福祉協議会に置かれている運営適正化委員会に相談することができます。
次は、学童の中で相談できる窓口を確認します。
学童の中で相談できる窓口
学童の中で相談できる窓口には、担当の職員や施設の責任者、運営主体の苦情受付担当者や苦情解決責任者、学童の運営者とは別の立場で関わる第三者委員があります。
学童の中にも、相談の内容や段階に応じて、いくつかの窓口があります。
入所のときに配られた案内や重要事項の説明書、学童の掲示物などに、苦情の受付窓口が書かれていることがあるため、まずは確認しておきます。
担当の職員・施設の責任者
日々の対応や子どもの様子についての不満は、まず担当の職員や施設の責任者に伝えます。
お迎えのときの立ち話では十分に話せないこともあるため、連絡帳で相談したい内容を伝えたうえで、面談や電話の時間を取ってもらうと、落ち着いて話すことができます。
運営指針でも、保護者から相談がある場合には、保護者の気持ちを受け止め、信頼関係を基本に対応することとされています。
苦情受付担当者・苦情解決責任者
職員や施設の責任者に伝えても改善しない場合や、責任者本人の対応に問題があると感じる場合は、運営主体の苦情受付担当者に相談します。
苦情受付担当者は苦情を受け付ける役割を担い、苦情解決責任者は苦情の解決に責任を持つ立場の人です。
公立の学童を民間事業者が運営している場合や、社会福祉法人やNPO法人などが運営している場合は、運営する法人の本部などに窓口が置かれていることがあります。
運営指針では、苦情の内容や対応について職員間で共有し、事業内容の向上に生かすこととされているため、伝えた苦情が学童全体の改善につながることもあります。
第三者委員
第三者委員は、学童の運営者や職員とは別の立場から、苦情の解決に関わる人です。
国の基準では、苦情の公正な解決を図るため、事業者と職員以外の者を関与させるよう努めることとされています。
学童の中の人には話しにくいことや、運営者と保護者の間で話し合いが進まない場合は、第三者委員に相談することで、中立の立場から話し合いに入ってもらえることがあります。
第三者委員の名前や連絡先は、苦情の受付窓口とあわせて案内されていることがあるため、入所時の資料などで確認します。
このように、学童の中で相談できる窓口には、担当の職員や施設の責任者、運営主体の苦情受付担当者や苦情解決責任者、学童の運営者とは別の立場で関わる第三者委員があります。
次は、学童の外で相談できる窓口を確認します。
学童の外で相談できる窓口
学童の外で相談できる窓口には、学童を所管する市町村の担当課と、都道府県の社会福祉協議会に置かれている運営適正化委員会があり、民間の学童の場合は市町村への届出の有無によって相談先が変わります。
学童の中で相談しても解決しない場合は、学童の外にある窓口に相談します。
相談するときは、学童にいつ、誰に、何を伝え、どのような対応があったかをまとめておきます。
市町村の担当課
学童は市町村が所管しており、公立の学童であれば、市町村の子育て支援や児童福祉の担当課が相談先になります。
こども家庭庁の令和7年の調査では、学童の運営形態は公立公営が22.4%、公立民営が52.2%となっており、公立の学童を民間事業者が運営している場合も、市町村の担当課に相談することができます。
国の基準では、学童の事業者は、市町村から指導や助言を受けた場合には、それに従って必要な改善を行うこととされています。
東京新聞の子育てサイト「東京すくすく」の記事では、横須賀市の民設民営の学童で不適切な対応があった事例が紹介されており、保護者が市の担当課に相談していたことや、市長が市議会で、不適切な事案が続く場合は補助金の不交付も視野に入れて対応を検討すると答弁したことが書かれています。
運営適正化委員会
運営適正化委員会は、社会福祉法第83条に基づいて、各都道府県の社会福祉協議会に置かれている第三者機関です。
福祉サービスに関する苦情について、公正で中立な立場から、相談、助言、調査、あっせんを行います。
国の基準でも、学童の事業者は、運営適正化委員会が行う調査にできる限り協力することとされています。
学童の中でも市町村でも解決しない場合や、中立の機関に相談したい場合は、住んでいる都道府県の社会福祉協議会に問い合わせてみます。
民間の学童の場合
児童福祉法では、国や都道府県、市町村以外の者が放課後児童クラブを運営する場合、あらかじめ市町村長に届け出ることとされています。
市町村に届出をしている民間の学童であれば、公立の学童と同じように、市町村の担当課に相談することができます。
一方で、市町村に届出をせず、習い事や塾のような形で運営している民間の学童もあるため、契約や料金に関するトラブルは、消費者ホットライン(188)から最寄りの消費生活センターに相談する方法もあります。
利用している民間の学童が市町村に届出をしているかどうかは、学童や市町村の担当課に確認できます。
このように、学童の外で相談できる窓口には、学童を所管する市町村の担当課と、都道府県の社会福祉協議会に置かれている運営適正化委員会があり、民間の学童の場合は市町村への届出の有無によって相談先が変わります。
次は、クレームを伝えるときのポイントを確認します。
クレームを伝えるときのポイント
クレームを伝えるときは、事実を記録したうえで、何を改善してほしいのかをはっきりさせ、やりとりを文書で残し、必要に応じてほかの保護者と状況を共有することが大切です。
伝え方によって、学童側の受け止め方や、その後の対応が変わることがあります。
感情的な対立を避け、子どものための改善につなげるための伝え方を確認します。
事実を記録しておく
クレームを伝える前に、何があったのかを記録しておきます。
記録しておくとよい内容は、次のとおりです。
- いつ(日付・時間帯)
- どこで、誰が関わっていたか
- 子どもから聞いた内容と、保護者が見たこと
- 職員からどのような説明や対応があったか
- けがや持ち物の破損がある場合は、その写真
子どもから聞いた話と、保護者が自分で見たり聞いたりしたことを分けて記録しておくと、相手に伝えるときに事実を正確に説明しやすくなります。
求めることをはっきりさせる
クレームを伝えるときは、不満を伝えるだけでなく、何を改善してほしいのかをはっきりさせておきます。
たとえば、「子どもの話を聞いてから対応してほしい」「トラブルがあったときは当日中に連絡してほしい」など、具体的に伝えることで、学童側も対応を考えやすくなります。
あわせて、いつまでにどのような形で回答や報告をしてほしいかも伝えておきます。
やりとりを文書で残す
口頭で伝えた内容は、あとから言った言わないの行き違いが起きることがあります。
面談や電話で話した場合も、話した内容と学童側の回答を、日付とあわせて記録しておきます。
連絡帳やメールなど、文書で残る形でやりとりをしておくと、市町村や運営適正化委員会に相談する場合にも経緯を説明しやすくなります。
ほかの保護者と状況を共有する
東京すくすくの記事では、学童保育連絡協議会の関係者の話として、学童側や行政に訴えるときは、個人ではなく複数の保護者の声として伝えることで、問題を共有し、より確かな対応につながることが紹介されています。
同じような不安を感じている保護者がいる場合は、状況を共有したうえで、保護者会などを通して学童に伝える方法もあります。
ただし、ほかの子どもや家庭に関わる内容を広めることは、新たなトラブルにつながることもあるため、事実に基づいて慎重に共有します。
このように、クレームを伝えるときは、事実を記録したうえで、何を改善してほしいのかをはっきりさせ、やりとりを文書で残し、必要に応じてほかの保護者と状況を共有することが大切です。
次は、改善しないときに学童を移ることについて確認します。
改善しないときは学童を移ることも考える
クレームを伝えても改善しないときは、学童を移ることや辞めることも選択肢になり、その場合は次の居場所を確保したうえで、子どもが着いたことと帰ったことを保護者が確認できる仕組みを用意しておくことが大切です。
子どもが安心して過ごせない状態が続く場合は、今の学童に通い続けることにこだわらず、ほかの居場所を考えることも必要です。
東京すくすくの記事で紹介された横須賀市の事例でも、保護者が子どもを退所させ、同じ時期に複数の子どもが新しく開設された別の学童に移ったことが書かれています。
転所・退所の前に確認すること
学童を移る場合は、次の学童に入れるかどうかを、今の学童を辞める前に確認しておきます。
学童によっては定員に空きがなく、すぐに入れないこともあるため、市町村の担当課に空き状況や途中入所の手続きを確認します。
見学ができる場合は、子どもと一緒に見学し、トラブルがあったときの対応や、保護者への連絡の方法も聞いておくと安心です。
学童を辞める場合も、それまでに伝えた苦情の内容は、市町村や運営適正化委員会に相談を続けることができます。
到着と帰宅を確認する仕組み
学童を辞めたり、次の学童に入るまでの間は、自宅での留守番や祖父母の家、習い事などで放課後を過ごすことになり、子どもが一人で移動する場面が増えます。
自宅で留守番をする場合は、帰宅したら保護者に連絡する、鍵を自分で管理するといったルールを子どもと決めておきます。
習い事に通う場合は、子どもが教室に着いたかどうかを、保護者が仕事中に確認できるかも大切な点です。
LINE入退クラウドは、塾や習い事の教室で子どもがQRコードやICカードをかざすだけで、教室に着いた時刻と出た時刻を保護者のLINEに自動で通知する入退室管理システムです。
このように、クレームを伝えても改善しないときは、学童を移ることや辞めることも選択肢になり、その場合は次の居場所を確保したうえで、子どもが着いたことと帰ったことを保護者が確認できる仕組みを用意しておくことが大切です。


