学童保育の仕事がきついと言われる理由は?続けるための対策について
未分類学童保育の仕事がきついと感じたとき、それが自分の向き不向きの問題なのか、職場の仕組みの問題なのかは、なかなか見分けがつきません。
子どもが好きで働き始めたのに、毎日の疲れが抜けず、続けられるかどうか迷い始めている人もいます。
一方で、職員が定着しない施設では、残った人の負担がさらに増えるという悪循環も起きています。
学童保育の仕事がきついと言われる理由、負担が大きい場面、職員と運営側それぞれができる対策、働き続けることで得られるものまで順に確認していきます。
学童保育の仕事がきついと言われる理由は?
学童保育の仕事がきついと言われるのは、少ない人数で多くの子どもの安全を守る責任の重さ、体を使う負担、保護者や職員同士の人間関係、仕事の内容に見合わない処遇と中途半端な勤務時間が重なっているためです。
どれか1つだけなら乗り越えられても、これらが同時に重なることで、続けるのが難しいと感じる人が出てきます。
職員の定着は学童の運営全体の課題でもあり、みずほリサーチ&テクノロジーズの2023年度の調査では、市区町村が挙げた職員の定着に関する課題として「精神的負担」「人間関係」が多かったことが示されています。
| きついと言われる理由 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 責任の重さ | おおむね40人以下に2人以上という配置で、子どもの安全を守り続ける |
| 体力的な負担 | 外遊びへの参加、長期休暇の朝から夕方までの勤務 |
| 人間関係 | 保護者への説明、職員同士の考え方の違い |
| 処遇と勤務時間 | 非常勤が多く年収が低い、平日は午後からの短時間勤務が中心 |
少ない人数で子どもの安全を守る責任
国の基準では、学童の職員は、おおむね40人以下の子どものまとまりごとに2人以上と定められています。
40人の子どもを2人の職員で見る時間帯もあり、1人が保護者対応や電話に入れば、残りの1人で全体を見渡さなければなりません。
けがやトラブルはいつ起きるかわからず、子どもの命を預かっているという緊張感が、勤務している間ずっと続きます。
小学生は動きが大きく、外遊びや体を使った遊びも多いため、保育園や学校とは違った種類の注意が必要です。
学校の教室であれば子どもは席に座っていますが、学童では子どもが自由に遊びを選び、部屋の中と外を行き来するため、一人ひとりの居場所を把握し続けること自体が大きな負担になります。
下校の途中で寄り道をしてしまい、時間になっても到着しない子どもがいれば、その確認も職員の役目です。
体を使う仕事と長期休暇の長時間勤務
学童保育では、子どもと一緒に走り回ったり、ドッジボールや鬼ごっこに参加したりする場面が多くあります。
1年生から6年生までの子どもを相手にするため、高学年の子どもとの遊びでは大人でも息が上がるほど体力を使います。
夏休みなどの長期休暇は、朝から夕方まで子どもを預かるため、勤務時間が長くなり、暑さの中での外遊びや行事の準備も加わります。
平日は午後からの勤務に体が慣れていても、長期休暇に入ると勤務時間が一気に延びるため、疲れがたまりやすくなります。
年齢を重ねてから学童保育の仕事を始める人も多く、体力的な負担は年齢とともに大きく感じられるようになります。
保護者や職員同士の人間関係
学童の職員は、毎日のお迎えのときに保護者と顔を合わせ、子どもの様子を伝えたり、相談を受けたりします。
子ども同士のトラブルやけがが起きたときには、双方の保護者に説明する必要があり、言葉の選び方に神経を使います。
職員同士の関係も、少人数の職場だからこそ影響が大きく、子どもへの関わり方について考え方が合わない職員がいると、毎日の勤務がつらいものになります。
長く勤めている職員と新しく入った職員の間で、仕事の進め方が共有されていないことも、関係がこじれる原因になります。
非常勤の職員が多い職場では、勤務する時間帯が人によって異なるため、職員同士が顔を合わせて話し合う時間をとりにくいという事情もあります。
情報の共有が口頭の引き継ぎだけに頼っていると、伝わっていなかったことが原因で職員同士の行き違いが生まれやすくなります。
給料と勤務時間
学童保育の仕事は、責任の重さに比べて処遇が低いと言われてきました。
All Aboutの記事で紹介されている全国学童保育連絡協議会の調査では、週20時間以上勤務する職員の約半数が年収150万円未満、約6割が年収200万円未満で、8割近くが非常勤やパートの職員であると示されています。
常勤の職員についても、放課後NPOアフタースクールの記事では、みずほリサーチ&テクノロジーズの令和4年度の調査として、常勤の放課後児童支援員資格保有者の平均年収が約289万円と紹介されています。
子どもが学校から帰ってくる午後から夜にかけての勤務が中心になるため、1日の勤務時間が短く、フルタイムで働きたくても働きにくいという面もあります。
反対に、長期休暇の時期だけ勤務時間が大きく増えるため、1年を通して収入や働き方が安定しにくいことも、続けにくさにつながっています。
自治体が直接雇用する会計年度任用職員の場合は、任期が原則1年以内とされており、毎年の更新に不安を感じる職員もいます。
このように、学童保育の仕事がきついと言われるのは、少ない人数で多くの子どもの安全を守る責任の重さ、体を使う負担、保護者や職員同士の人間関係、仕事の内容に見合わない処遇と中途半端な勤務時間が重なっているためです。
次は、学童保育の仕事がきついと感じやすい具体的な場面を確認します。
学童保育の仕事がきついと感じやすい場面
学童保育の仕事がきついと感じやすいのは、子どもが一斉に来る時間帯、配慮が必要な子どもへの対応、夏休みなどの長期休暇、子どもが帰ったあとの記録や事務という4つの場面です。
きつさを感じる場面がはっきりすれば、どこに手を打てばいいのかも見えやすくなります。
職員一人ひとりが感じている負担を場面ごとに分けて整理することが、改善の出発点になります。
子どもが一斉に来る時間帯
平日の午後、学校の下校時刻に合わせて子どもが次々に到着する時間帯は、1日の中でも特に慌ただしい時間です。
到着した子どもの名前と人数を確認し、体調や表情にも目を配りながら、宿題やおやつの準備を進めなければなりません。
来るはずの子どもが来ていない場合は、保護者や学校に電話をかけて、子どもがどこにいるのかを確かめる必要があります。
同じ時間帯に保護者から「もう着きましたか」という確認の電話がかかってくると、職員の手はさらに足りなくなります。
この時間帯は、子どもにとっても学校での緊張がほどけて気持ちが高ぶりやすい時間であり、トラブルやけがも起きやすくなります。
配慮が必要な子どもへの対応
学童には、発達に特性のある子どもや、生活面で配慮が必要な子どもも通っています。
ほかの子どもを叩いてしまう、部屋から飛び出してしまうといった行動が起きると、職員が1人付きっきりになり、残りの職員で全体を見ることになります。
一人ひとりに合った関わり方を考えながら、ほかの子どもの安全も守らなければならないため、職員には大きな精神的負担がかかります。
対応を一人の職員に任せきりにしている施設では、その職員だけが疲れ切ってしまうことも少なくありません。
保護者との間で、学童での様子の受け止め方が食い違う場合もあり、伝え方に悩むことも職員の負担を大きくしています。
夏休みなど長期休暇の時期
夏休みは、朝8時前後から夕方まで子どもを預かる日が1か月以上続きます。
利用する子どもの数も平日より増え、プールや工作、お祭りなどの行事の準備と運営も重なります。
暑さの中での外遊びでは、熱中症にも注意しながら子どもを見守る必要があり、職員自身の体力も削られていきます。
朝から夕方までの長時間勤務が続くため、長期休暇は学童保育の仕事の中でも負担が大きい時期です。
子どもが帰ったあとの記録と事務
子どもが全員帰ったあとも、片付けや戸締まりに加えて、日誌や育成支援の記録の作成が残っています。
国の運営指針でも、日々の子どもの状況や育成支援の内容を記録すること、子どもの出欠席を日誌に残すことが求められています。
手書きの記録や紙の出席簿で管理している施設では、記録の作成に時間がかかり、勤務時間内に終わらないこともあります。
子どもと関わる時間以外の業務が多いほど、職員は「子どもと向き合う時間がない」と感じやすくなります。
勤務時間が短い非常勤の職員が多い施設では、記録や事務が一部の常勤職員に集中し、その職員の残業が増えるという偏りも生まれます。
このように、学童保育の仕事がきついと感じやすいのは、子どもが一斉に来る時間帯、配慮が必要な子どもへの対応、夏休みなどの長期休暇、子どもが帰ったあとの記録や事務という4つの場面です。
次は、学童保育の仕事のきつさを減らすために職員ができることを確認します。
学童保育の仕事のきつさを減らすために職員ができること
学童保育の仕事のきつさを減らすために職員ができることは、一人で抱えずに具体的な場面で相談すること、資格を取って処遇の改善につなげること、必要に応じて働き方や職場を変えることの3つです。
きつさの原因の中には、職員個人の工夫で変えられるものと、運営の仕組みを変えなければ変わらないものがあります。
自分で変えられることから手をつけ、変えられないことは運営側に伝えるという順番で考えると、無理なく状況を変えていけます。
一人で抱えず、具体的な場面で相談する
「疲れた」「人が足りない」という伝え方では、運営の責任者も何を変えればいいのかがわかりません。
「16時から17時の間、2人で35人を見ていて、電話が鳴ると1人になってしまう」のように、時間帯と状況を具体的に伝えると、シフトや役割分担を見直すきっかけになります。
記録を数日分つけてから伝えると、感覚ではなく事実として受け止めてもらいやすくなります。
配慮が必要な子どもへの対応も、一人の職員に任せるのではなく、職員全体で記録を共有し、対応の仕方を揃えることを提案します。
ほかの職員も同じ負担を感じていることが多いため、職員会議などの場で話し合うことで、施設全体の改善につながります。
保護者対応で困ったときも、その場で一人で答えを出そうとせず、「確認してお伝えします」と伝えて責任者と相談してから返答する習慣をつけると、精神的な負担が軽くなります。
放課後児童支援員の資格を取り、処遇の改善につなげる
補助員として働いている場合は、放課後児童支援員の資格を取ることで、資格手当がついたり時給が上がったりする施設が多くあります。
放課後児童支援員の資格は、保育士や教員免許などの基礎資格を持つ人のほか、高校卒業後に2年以上放課後児童健全育成事業に類似する事業に従事し、市町村長が認めた人なども、都道府県の研修を修了することで取得できます。
国には、経験年数や研修の受講状況に応じて放課後児童支援員の賃金を上げるための「キャリアアップ処遇改善事業」という補助の仕組みもあります。
資格と経験を積み重ねることで、待遇の改善だけでなく、施設の中で任される役割も広がっていきます。
研修では、子どもの発達の理解や、保護者との連携、安全対策など、日々の仕事に直接役立つ内容を学ぶことができ、対応に迷う場面が減ることも資格を取る利点です。
働き方や職場を変える選択肢
体力的な負担が大きい場合は、勤務する曜日や時間を減らしたり、長期休暇中のシフトを調整してもらったりすることで、続けやすくなることがあります。
反対に、収入を増やしたい場合は、常勤の募集がある施設に移ったり、長期休暇の朝の時間帯の勤務を引き受けたりすることで、勤務時間を増やせる場合もあります。
運営主体によって給与体系や職員の人数、業務の進め方は大きく異なるため、同じ学童保育の仕事でも、施設を変えるだけで負担が軽くなる場合もあります。
放課後児童支援員の資格は全国で通用する資格のため、別の地域や別の施設に移っても生かすことができます。
心身の不調が続いている場合は、無理を重ねず、休職や退職も含めて自分の健康を優先して考えることが大切です。
このように、学童保育の仕事のきつさを減らすために職員ができることは、一人で抱えずに具体的な場面で相談すること、資格を取って処遇の改善につなげること、必要に応じて働き方や職場を変えることの3つです。
次は、学童保育の仕事をきつくしない運営の仕組みを確認します。
学童保育の仕事をきつくしない運営の仕組み
学童保育の仕事をきつくしないためには、運営側が人員配置に余裕を持たせ、処遇改善の補助事業を活用し、子どもと関わらない業務を減らす仕組みを整えることが欠かせません。
職員のきつさの多くは、個人の努力だけでは解消できず、運営の仕組みから生まれています。
職員が定着すれば、新しい職員の採用や教育にかかる手間も減り、施設全体の安定につながります。
人員配置と加配職員の活用
国の基準の配置人数は最低限のものであり、子どもが一斉に到着する時間帯や長期休暇には、基準以上の職員を配置することで負担を分散できます。
大学生のアルバイトや短時間のパートを、子どもが多い時間帯だけ配置するといったシフトの工夫も、常勤職員の負担を減らすうえで効果があります。
長期休暇の前には、行事の準備を早めに分担し、休暇中に職員が休みを取れるようにシフトを組んでおくことも大切です。
障害のある子どもを受け入れる学童には、専門的な知識を持つ職員の配置にかかる費用を国が補助する仕組みがあり、令和7年版障害者白書によると、2022年度からは3人以上の受け入れで最大3名の職員を加配できるよう補助が拡充されています。
加配の職員がいれば、配慮が必要な子どもに職員が付き添いながら、ほかの子どもを見る体制を保つことができます。
補助の要件は市町村によって異なるため、運営している市町村の担当課に確認しておくことが大切です。
処遇改善の補助事業の活用
国は、学童の職員の賃金を改善するために、「放課後児童支援員等処遇改善等事業」と「放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業」という補助事業を設けています。
ただし、All Aboutの記事で紹介されている全国学童保育連絡協議会の調査では、これらの事業を利用している自治体の割合は、それぞれ20.18%と18.49%にとどまっています。
補助事業は市町村が実施しなければ使えないため、運営事業者が市町村に実施を働きかけることも、職員の処遇を改善するための方法の一つです。
補助を活用して賃金を上げることは、職員の定着と採用の両方に効果があります。
賃金だけでなく、職員が研修を受ける時間や、職員同士で子どもの様子を話し合う時間を勤務時間の中に確保することも、働き続けやすい職場づくりにつながります。
子どもと関わらない業務を減らす
到着の確認、出欠の記録、保護者からの問い合わせへの対応、日誌の作成など、子どもと直接関わらない業務が多いほど、職員の負担は大きくなります。
これらの業務の中には、仕組みを変えることで手間を大きく減らせるものがあります。
紙の出席簿を使った確認や、電話での連絡が中心の施設では、子どもが多い時間帯ほど職員がこれらの対応に追われることになります。
LINE入退クラウドは、子どもがQRコードやICカードをかざすだけで、到着と帰宅の時刻を保護者のLINEに自動で通知する入退室管理システムです。
WebPush入退クラウドは、LINEを使わずにブラウザのプッシュ通知で保護者に入退室を知らせる仕組みで、月額4,950円の定額のため、毎日通う子どもが多い学童でも通知数による追加費用がかかりません。
入退室の記録と保護者への通知が自動になれば、子どもが一斉に来る時間帯の確認作業や、保護者からの電話への対応にかかっていた時間を、子どもと関わる時間に回すことができます。
このように、学童保育の仕事をきつくしないためには、運営側が人員配置に余裕を持たせ、処遇改善の補助事業を活用し、子どもと関わらない業務を減らす仕組みを整えることが欠かせません。
次は、学童保育の仕事がきつくても続ける人が感じていることを確認します。
学童保育の仕事がきつくても続ける人が感じていること
学童保育の仕事には、きつさがある一方で、1年生から6年生まで子どもの成長を長く見守れることと、学童での経験がその後のキャリアにも生かせることという、この仕事ならではの価値があります。
きつさばかりが語られがちな仕事ですが、ほかの仕事では得にくい経験があることも確かです。
この仕事で得られるものを知っておくことは、続けるかどうかを考える材料になります。
子どもの成長を長く見守れる
学童保育では、同じ子どもと1年生から高学年まで、長ければ6年間関わることができます。
入所したばかりのころは泣いてばかりいた子どもが、高学年になって下級生の面倒を見るようになる姿を見られるのは、学童保育ならではの経験です。
学校の先生のように学年ごとに担当が変わることがなく、子どもの家庭での様子も含めて長く関わるため、子どもや保護者との信頼関係も深まっていきます。
学校でも家庭でもない場所だからこそ、子どもが学校では見せない一面を見せたり、家では話さない悩みを打ち明けたりすることもあります。
子どもにとって安心できる大人の一人になれることは、放課後の生活の場を支える学童保育の職員ならではの役割です。
子どもの小さな変化に気づき、その成長を保護者と一緒に喜べることは、長く関わる立場だからこそ得られるものです。
経験が次のキャリアにつながる
学童保育で身につけた、子どもの様子を観察する力や、保護者に状況を伝える力、ほかの職員と協力して動く力は、ほかの仕事でも生かせる力です。
放課後等デイサービスや児童館、保育園など、子どもと関わる別の仕事に移る場合にも、学童での経験は評価されます。
放課後児童支援員として経験を積み、施設の責任者を任されるようになれば、運営や職員の育成に関わる立場として働くこともできます。
学童保育の現場を知っている人材は、学童を運営する法人や、子育て支援に関わる行政の仕事でも求められています。
きつさを感じたときに、今の仕事で得ているものが何かを書き出してみると、続けるかどうかを冷静に判断しやすくなります。
きついと感じている理由と、得ているものの両方を並べてみることで、職場を変えれば解決することなのか、働き方そのものを見直すべきなのかが見えてきます。
今の職場の仕組みに原因があるのであれば、運営の仕組みが整っている別の学童に移ることで、同じ仕事を続けながら負担を減らせる可能性もあります。
このように、学童保育の仕事には、きつさがある一方で、1年生から6年生まで子どもの成長を長く見守れることと、学童での経験がその後のキャリアにも生かせることという、この仕事ならではの価値があります。

