習い事の月謝値上げを検討していて、保護者にどう伝えれば良いか悩んでいる方は多いでしょう。
家賃や光熱費、講師の給与が上がり、このままでは経営が厳しいけれど、値上げしたら生徒が辞めてしまうのではないか。 保護者から反発されるのではないか、クレームになるのではないかと不安。 そんな悩みを抱えていませんか。
本記事では、10年間学習塾を運営してきた経験から、月謝値上げを決めるタイミング、保護者への通知文例、値上げ後の退会を防ぐ方法まで詳しく解説します。
適切な時期に、丁寧に説明すれば、保護者の理解を得て、退会を最小限に抑えられます。
月謝値上げを決めるタイミングとは?
月謝値上げを決める際は、タイミングが非常に重要です。
値上げが必要な状況を見極め、適切な値上げ幅を設定し、告知から実施までの期間を確保することで、保護者の理解を得やすくなります。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
値上げが必要な状況
月謝値上げが必要な状況は、主に3つあります。
1つ目は、固定費が上昇した場合です。家賃の値上げ、光熱費の高騰、教材費の上昇など、避けられないコスト増があった場合、月謝の値上げを検討する必要があります。特に、賃貸契約の更新時に家賃が大幅に上がった場合、その分を月謝に転嫁しないと、利益が出なくなります。
2つ目は、講師の給与を上げる必要がある場合です。優秀な講師を確保し、定着させるには、適切な給与が必要です。最低賃金の上昇に伴い、講師の時給も上げざるを得ない状況では、月謝の値上げを検討します。
3つ目は、サービスを向上させる場合です。新しい教材を導入する、設備を改善する、授業時間を増やすなど、サービスの質を上げる場合、その分のコストを月謝に反映させることは正当です。
ただし、安易な値上げは避けるべきです。単に「利益を増やしたい」という理由だけでは、保護者の理解は得られません。明確な理由があり、それを保護者に説明できる状況で、値上げを決断します。
値上げが必要な状況を見極めたら、次は値上げ幅を設定します。
適切な値上げ幅の設定
値上げ幅は、慎重に設定する必要があります。
一般的に、月謝の値上げ幅は5〜10%程度が許容範囲です。例えば、月謝が10,000円の場合、500円〜1,000円の値上げなら、保護者も受け入れやすいです。
10%を超える大幅な値上げは、退会のリスクが高まります。15%、20%といった値上げは、保護者にとって大きな負担で、「他の教室を探そう」と考え始めます。
ただし、値上げの理由によっては、10%を超える値上げも可能です。例えば、授業時間を50分から60分に増やす、教材を全て新しくするなど、明確なサービス向上がある場合、保護者は納得しやすくなります。
また、段階的な値上げも検討します。一度に大幅に値上げするのではなく、今年500円、来年さらに500円、というように段階的に上げることで、保護者の負担感を軽減できます。
さらに、周辺の競合教室の月謝も調査します。自分の教室だけが高すぎると、保護者は他の教室に流れます。競合と比較して、同程度かやや高い程度であれば、値上げは正当化しやすいです。
適切な値上げ幅を設定することで、退会を最小限に抑えられます。
次に、告知のタイミングも重要です。
告知から実施までの期間
月謝値上げの告知から実施までの期間は、最低でも2〜3ヶ月は確保します。
告知が遅すぎると、保護者は「急に言われても困る」と反発します。家計の予算を調整する時間が必要なため、十分な期間を設けることが重要です。
理想的なタイミングは、学期の切り替わりや年度の切り替わりに合わせることです。例えば、4月から値上げする場合、1月に告知すれば3ヶ月の猶予があります。学期の途中で値上げするよりも、新学期から値上げする方が、保護者も受け入れやすいです。
また、告知の時期は、引き落とし日も考慮します。引き落とし直後に告知すると、「さっき払ったばかりなのに」と保護者は不満を持ちます。引き落とし前に告知し、「次回の引き落としから新しい金額になります」と伝える方がスムーズです。
さらに、繁忙期を避けることも重要です。受験シーズンや夏期講習前など、保護者が忙しい時期に値上げを告知すると、冷静に受け止めてもらえません。閑散期に告知し、保護者が落ち着いて考えられる時期を選びます。
告知から実施までの期間を適切に設定することで、保護者の理解を得やすくなります。
値上げのタイミングを決めたら、次は具体的な通知方法を見ていきましょう。
月謝値上げの通知文例
月謝値上げの通知は、書面とLINEの両方で行うのが効果的です。
書面は正式な通知として必須で、LINEは迅速な情報伝達に適しています。また、値上げ理由の説明方法も重要です。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
書面での通知文例
書面での通知は、正式で丁寧な文面にします。
以下は、書面での通知文例です。
保護者各位
月謝改定のお知らせ
拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、当教室では、より良い指導環境を提供するため、日々努力を重ねてまいりました。しかしながら、近年の物価上昇により、教室運営に関わる諸経費が大幅に増加しております。
具体的には、教室賃料の値上げ、光熱費の高騰、教材費の上昇などにより、現在の月謝では運営が厳しい状況となっております。
つきましては、誠に心苦しいお願いではございますが、令和〇年〇月分より、月謝を改定させていただくことになりました。
記
- 改定時期:令和〇年〇月分より
- 改定内容: 現行 月謝 〇〇,〇〇〇円 → 改定後 月謝 〇〇,〇〇〇円 (〇〇〇円の値上げ)
- 改定理由:教室賃料・光熱費・教材費の上昇による運営コスト増加のため
- サービス向上:値上げに伴い、以下のサービスを向上いたします ・新しい教材の導入 ・教室設備の改善(空調・照明の更新) ・講師の増員による個別対応の充実
今後も、お子様の成長を第一に考え、より良い指導を提供してまいります。何卒ご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
ご不明な点がございましたら、下記までお問い合わせください。
敬具
令和〇年〇月〇日 〇〇教室 代表 〇〇〇〇 連絡先:〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
この文例のポイントは、値上げの理由を明確に示し、サービス向上も併せて伝えることです。また、感謝の気持ちと今後の努力も記載します。
次に、LINEでの通知文例を見ていきましょう。
LINEでの通知文例
LINEでの通知は、簡潔でわかりやすい文面にします。
以下は、LINEでの通知文例です。
【重要なお知らせ】月謝改定について
保護者の皆様
いつもお世話になっております。〇〇教室です。
本日、月謝改定に関する重要なお知らせを郵送いたしましたので、必ずご確認ください。
誠に心苦しいお願いではございますが、〇月分より月謝を改定させていただくことになりました。
【改定内容】 現行:〇〇,〇〇〇円 → 改定後:〇〇,〇〇〇円 (〇〇〇円の値上げ)
【改定理由】 教室賃料・光熱費・教材費の上昇により、現在の月謝では運営が厳しい状況となっております。
【サービス向上】 値上げに伴い、新しい教材の導入、教室設備の改善、講師の増員を行います。
詳細は郵送した書面をご確認ください。ご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。
今後も、お子様の成長を第一に考え、より良い指導を提供してまいります。何卒ご理解とご協力をお願いいたします。
〇〇教室 代表 〇〇〇〇
LINEでは、書面を郵送したことを伝え、詳細は書面で確認してもらうように誘導します。また、改定内容を簡潔に示し、理由とサービス向上も記載します。
さらに、値上げ理由の説明方法も重要です。
値上げ理由の説明方法
値上げ理由の説明は、具体的で納得感のある内容にします。
まず、コスト増を具体的に示します。「教室賃料が月3万円上昇しました」「光熱費が昨年比30%増加しました」など、数字で示すと説得力が増します。
次に、業界全体の状況も説明します。「習い事業界全体で、光熱費や人件費の上昇により、多くの教室が月謝を改定しています」と伝えることで、自分の教室だけの問題ではないことを理解してもらえます。
また、値上げしない場合のリスクも伝えます。「現在の月謝では、講師の確保が難しく、指導の質が低下する恐れがあります」「設備の老朽化が進み、安全な環境を維持できなくなります」など、値上げが必要な理由を明確にします。
さらに、値上げ分の使途を明示します。「値上げ分は、新しい教材の購入、教室設備の改善、講師の研修費用に充てます」と具体的に説明することで、保護者は納得しやすくなります。
加えて、他の教室との比較も有効です。「周辺の同様の教室の月謝は〇〇,〇〇〇円〜△△,△△△円で、当教室は改定後も平均的な価格帯です」と示すことで、値上げが妥当であることを伝えられます。
値上げ理由を丁寧に説明することで、保護者の理解を得やすくなります。
通知方法を理解したら、次は退会を防ぐ方法を見ていきましょう。
値上げ後の退会を防ぐ方法
月謝値上げ後の退会を防ぐには、保護者の不安を解消し、納得感を高めることが重要です。
値上げと同時にサービスを向上させ、保護者の不安に先回りして対応し、既存生徒への特典を提供することで、退会を最小限に抑えられます。
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
値上げと同時にサービス向上
値上げと同時にサービスを向上させることで、保護者は「値上げ分の価値がある」と感じます。
まず、新しい教材を導入します。最新の教材、評判の良い教材を導入し、「この教材を使って、さらに成績が上がります」とアピールします。保護者は、教材の質に敏感で、良い教材を使っていることを評価します。
次に、教室設備を改善します。空調を新しくする、照明を明るくする、机や椅子を買い替えるなど、目に見える改善を行います。保護者が教室を訪れたときに、「きれいになった」「快適になった」と感じれば、値上げに納得しやすくなります。
また、授業時間を延長することも効果的です。50分授業を60分に延長する、自習時間を増やすなど、実質的なサービス向上を行います。「授業時間が増えたから、値上げも仕方ない」と保護者は理解します。
さらに、講師を増員して個別対応を充実させます。「今まで1クラス10名でしたが、講師を増やして5名に減らし、一人ひとりに丁寧に指導します」と伝えれば、保護者は価値を感じます。
加えて、保護者向けのサービスも充実させます。定期的な保護者面談の実施、学習報告書の配布、LINEでの相談対応など、保護者とのコミュニケーションを強化します。
値上げと同時にサービスを向上させることで、保護者の満足度が上がり、退会を防げます。
次に、保護者の不安への対応も重要です。
保護者の不安に先回りして対応
保護者が値上げについて抱く不安を予測し、先回りして対応します。
まず、よくある質問を想定し、FAQを作成します。「なぜ値上げが必要なのか」「他の教室と比べて高くないか」「値上げ分は何に使われるのか」といった質問に対する答えを用意し、通知と一緒に配布します。
次に、個別相談の機会を設けます。「値上げについて、ご不明な点やご不安な点がありましたら、個別にご相談ください」と伝え、希望者には面談を実施します。直接話すことで、保護者の不安を解消できます。
また、支払い方法の柔軟化も検討します。「一括払いが難しい場合は、分割払いも可能です」と提案することで、経済的な負担を軽減できます。
さらに、値上げに反対する保護者への対応も準備します。「値上げは納得できない」という保護者には、「ご事情はよくわかります。もし継続が難しい場合は、〇月末までにご連絡いただければ、スムーズに退会手続きを行います」と丁寧に対応します。無理に引き止めず、保護者の選択を尊重する姿勢を示します。
加えて、値上げ後の成果を報告することも約束します。「値上げから半年後に、サービス向上の成果をご報告します」と伝えることで、保護者は「ちゃんと使われているか確認できる」と安心します。
保護者の不安に先回りして対応することで、信頼関係を保てます。
最後に、既存生徒への特典も効果的です。
既存生徒への特典提供
既存生徒への特典を提供することで、「長く通っている生徒を大切にしてくれる」と保護者は感じます。
まず、既存生徒の値上げ時期を遅らせます。「新規生徒は〇月から新料金、既存生徒は△月から新料金」と、既存生徒の値上げを2〜3ヶ月遅らせることで、優遇感を与えられます。
次に、兄弟割引を導入または拡大します。「兄弟で通っている場合、2人目以降は値上げしません」「兄弟割引を10%から15%に拡大します」など、複数の子どもを通わせている家庭の負担を軽減します。
また、長期在籍割引も検討します。「3年以上通っている生徒は、値上げ幅を半額にします」「5年以上通っている生徒は、値上げしません」など、長く通っている生徒への感謝を示します。
さらに、一括払い割引を設けます。「年間一括払いの場合、1ヶ月分無料」「半年一括払いの場合、500円割引」など、先払いする保護者へのインセンティブを用意します。
加えて、紹介特典を強化します。「お友達を紹介してくれた場合、紹介者・入会者ともに1ヶ月分の月謝を半額にします」など、既存生徒が新規生徒を連れてきてくれる仕組みを作ります。
既存生徒への特典を提供することで、「長く通っていて良かった」と保護者は感じ、退会を思いとどまります。
習い事の月謝値上げについて、タイミングから通知文例、退会を防ぐ方法まで解説してきました。月謝値上げは、固定費の上昇や講師の給与アップなど明確な理由がある場合に検討し、値上げ幅は5〜10%程度、告知から実施まで2〜3ヶ月の期間を確保します。書面とLINEで丁寧に通知し、値上げ理由を具体的に説明します。値上げ後の退会を防ぐには、サービスを向上させ、保護者の不安に先回りして対応し、既存生徒への特典を提供することが重要です。適切な対応で、保護者の理解を得て、退会を最小限に抑えられます。

