塾経営の経費削減方法とは?利益率向上が成功のポイント

経営

塾経営の経費削減をどこから手をつければよいかわからないという経営者の方は多いでしょう。

売上が伸び悩む中で、「何を削れば利益率が改善するのか」「削りすぎて教育の質が落ちないか」という不安から、経費の見直しに踏み出せないケースは少なくありません。

塾経営の経費削減は、人件費・家賃・システム費用の順に優先度を決めて手をつけることで、教育品質を落とさずに利益率を改善できます。

この記事では、塾経営の経費削減を実務レベルで進めるための手順と、削れる経費と削ってはいけない経費の見分け方を解説します。

塾経営の経費削減はどこから手をつけるべき?

塾経営の経費削減は、影響が大きい順に人件費・家賃・システム費用の3つから着手することが基本です。

一般的な塾の経費構造は、人件費60%・家賃20%・その他(教材費・光熱費・通信費・システム費用など)20%という比率になっています。

この構造から見ると、人件費を1%改善するだけで家賃を3%改善するのと同じ効果が出ることがわかります。

影響が小さい部分から手をつけると、手間ばかりかかって改善効果が小さいという結果になります。

優先順位を決めずに「とにかく削る」という発想では、削ってはいけない部分(講師の質・集客費)まで削って売上が落ちるという逆効果を招くリスクがあります。

削ってはいけない経費と削れる経費の見分け方

経費には「売上に直結するもの」と「売上に影響しないもの」の2種類があります。

売上に直結する経費を削ると収益が悪化し、影響しない経費を削ると純粋に利益が増えます。

削ってはいけない経費の例は以下の通りです。

  • 講師の人件費(質の高い講師は生徒の継続率に直結する)
  • 集客広告費(集客が止まると売上が下がる)
  • 生徒の学習に関わる教材費

削れる経費の例は以下の通りです。

  • 使っていない機能に払っているシステム費用
  • 見直していない光熱費・通信費
  • 相見積もりを取っていない消耗品・備品

この分類を最初に行うことが、経費削減で失敗しないための前提です。

経費削減の目標設定

経費削減を始める前に、現状の経費率と目標の経費率を数字で設定することが重要です。

例えば月商100万円・経費80万円(経費率80%)の塾が、経費率を70%に改善できれば月10万円・年間120万円の利益改善になります。

「なんとなく削る」ではなく「この経費をいくらにする」という数字の目標を決めてから動くことで、優先順位が明確になります。

現状の経費を項目別に書き出し、金額の大きい順に並べることが最初にやるべき作業です。

塾経営の経費削減は、人件費・家賃・システム費用の順に優先度を決めて進めることが基本です。

次は、最も影響が大きい人件費の削減方法を確認します。

塾の人件費を削減する具体的な方法

塾の人件費削減は、講師の人数を減らすのではなく、適正な配置と役割分担の見直しで実現することが重要です。

講師の数を単純に減らすと授業の質が落ち、生徒の退塾につながり、収益がむしろ悪化します。

削るべきは「人数」ではなく「非効率な配置と無駄なシフト」です。

適正な講師数の計算

個別指導の場合、講師1名あたり同時に担当できる生徒数は1〜3名が上限です。

集団指導の場合は1クラスあたり講師1名で10〜20名が目安です。

現在の生徒数と時間帯別の在籍状況を確認し、空きコマに講師が待機している状態になっていないかを確認することが第一歩です。

空きコマが多い講師がいれば、シフトの組み方を見直すことで人件費効率が改善します。

専任講師とアルバイト講師の役割分担

専任講師とアルバイト講師の役割を明確に分けることで、人件費効率を高められます。

専任講師は進路相談・保護者対応・カリキュラム管理など、経験と信頼が必要な業務を担当します。

アルバイト講師は授業の実施に専念させることで、時給コストを抑えながら指導品質を維持できます。

すべての業務を専任講師に集中させると人件費が膨らみ、すべてをアルバイトに任せると品質が下がります。

この役割分担を設計するだけで、人件費を10〜20%改善できるケースがあります。

具体的には、月商100万円・人件費60万円(経費率60%)の塾が人件費を10%削減できれば、月6万円・年間72万円の改善になります。

指導品質への影響を確認しながら段階的に進めることが重要です。

繁閑に合わせたシフト設計

塾の生徒数は学期によって変動します。

夏期講習・冬期講習の繁忙期と、春休みや定期テスト前後の閑散期ではシフトの必要時間数が大きく異なります。

閑散期に繁忙期と同じシフトを組んでいると、空きコマに人件費が発生し続けます。

学期ごとにシフトを見直す仕組みを作るだけで、年間の人件費を5〜10%削減できるケースがあります。

「昨年と同じシフト」を毎年自動で組んでいる場合は、生徒数の実態と照らし合わせて見直すことが重要です。

講師との雇用契約を「固定時間数」ではなく「授業コマ数に応じた変動制」にしておくと、閑散期の人件費を柔軟に調整しやすくなります。

人件費削減は「減らす」ではなく「適正化する」という発想で進めることが、教育品質を保ちながら利益率を改善する方法です。

次は、家賃・光熱費などの固定費削減を確認します。

家賃・光熱費などの固定費を削減する方法

家賃・光熱費・通信費は、一度見直せば毎月継続して削減効果が出る経費です。

毎月自動的に支払っているこれらの固定費は、「そういうものだ」と思って放置されているケースが多く、見直すだけで大きな改善効果が得られることがあります。

家賃の交渉と見直し

家賃は、契約更新のタイミングで大家・管理会社に交渉することで、月額1〜3万円の削減が実現するケースがあります。

「近隣の物件と比較した相場」と「長期的に入居を続けるメリット」を伝えることが、交渉を成功させる基本的な材料です。

交渉が難しければ、管理費・駐車場代・共益費などの付随費用の見直しを求めるだけでも効果が出ることがあります。

月2万円の削減が実現すれば、年間24万円の固定費削減になります。

移転による家賃削減も選択肢の一つですが、移転費用(敷金・礼金・内装工事・引越し・看板)と生徒への影響を必ず試算してから判断することが重要です。

光熱費の見直し

電力・ガスの自由化により、事業者を変更することで光熱費を10〜15%削減できるケースがあります。

複数の事業者から見積もりを取り、年間の削減額を比較してから切り替えを判断します。

エアコンの設定温度の見直し・LED照明への切り替え・使っていない機器の電源管理など、運用の工夫だけでも月数千円〜1万円程度の削減が見込めます。

通信費の見直し

Wi-Fiルーターの契約プランや法人携帯の台数・プランを確認し、不要な回線や過剰なプランがないかを確認します。

複数回線を使っている場合は、まとめて契約することで割引が受けられるケースがあります。

通信費は月額が小さく見えても、年間に換算すると意外に大きな金額になっていることがあります。

固定費は一度見直せば継続的に効果が出るため、最初にまとめて確認する時間を取ることが重要です。

家賃・光熱費・通信費の3つをまとめて見直すことで、月3〜5万円・年間36〜60万円の削減が実現するケースがあります。

次は、見落としがちなシステム費用と教材費の削減を確認します。

システム費用・教材費など見落としがちな経費の削減

塾経営で見落としがちな経費として、使っていない機能に費用を払い続けているシステム費用と、仕入れ先を見直していない教材費があります。

毎月自動で引き落とされる小さな費用は意識されにくく、気づいていないだけで積み上がっているケースが多いです。

入退室管理システムのコスト見直し

入退室管理システムは、従量課金型と定額制で生徒数が増えた時のコスト差が大きく変わります。

従量課金型の入退くんは、基本料金月額3,300円(60名まで)に加えて、61名以降は1名あたり月55円が加算されます。

生徒数別のシステム料金の比較は以下の通りです。

  • 生徒50名:入退くん3,300円 vs LINE入退クラウド2,750円 → 月550円・年間6,600円の差
  • 生徒100名:入退くん5,500円 vs LINE入退クラウド3,300円 → 月2,200円・年間26,400円の差
  • 生徒200名:入退くん11,000円 vs LINE入退クラウド3,300円 → 月7,700円・年間92,400円の差

なお、LINEで保護者に入退室通知を送る場合、どのシステムを選んでもLINE Messaging APIの費用(月201通以上で5,500円)が別途かかります。

生徒30名・週2回通塾の教室でも月約480通の通知が発生するため、ほとんどの教室でMessaging APIの5,500円が加算されます。

Messaging APIの費用ごとなくしたい場合は、LINEを使わずスマホのブラウザ通知で保護者に知らせるWebPushプランが選択肢です。

WebPushプランは月額4,950円の完全定額で、生徒数や通知数が増えても追加費用は一切発生しません。

使っていない機能(勤怠管理・体温管理など)が管理画面を複雑にしているシステムの場合は、必要な機能だけに絞ったシンプルなシステムへの切り替えも検討する価値があります。

教材費の見直し

書店経由で仕入れている教材を出版社から直接仕入れに変更することで、10〜20%の割引が受けられるケースがあります。

複数の出版社や問屋から相見積もりを取ることも有効で、年間15〜20万円のコスト削減につながった事例があります。

使用頻度が低い高額参考書は、生徒間で回し使いできる仕組みを作ることで購入量を減らせます。

消耗品(コピー用紙・ボールペン・ファイルなど)は使用量を予測して一括購入することで、単価を10〜30%削減できます。

システム費用と教材費は小さく見えても年間に換算すると大きく、一度見直すだけで継続的な削減効果が得られる経費です。

特に入退室管理システムは、生徒数が増えるほどコスト差が拡大するため、開業当初から定額制を選んでいるかどうかが長期的な経費構造に影響します。

年間数万円〜10万円規模の差が出るシステム費用の見直しは、手間が少ない割に効果の大きい経費削減の一つです。

経費削減で陥りがちな失敗パターン

経費削減で最もよくある失敗は、削ってはいけない部分を削って売上が落ち、結果的に経営が悪化するというパターンです。

「経費を減らす」という発想だけで動くと、短期的には利益が改善しているように見えて、3〜6ヶ月後に生徒数が減り始めるという遅延した悪影響が出ます。

経費削減と同時に、売上の維持・向上策を並行して進めることが長期的な利益率改善の条件です。

集客費を削りすぎる失敗

経費削減として広告費を大幅に削ると、新規問い合わせが減り、既存生徒の退塾を補えなくなります。

塾は毎年必ず卒業・転塾による自然退塾が一定数発生するため、新規集客を止めると生徒数が徐々に減少します。

集客費は「削れるコスト」ではなく「投資対効果で管理するコスト」として扱うことが重要です。

効果の低い媒体を絞る・チラシの配布エリアを最適化するという形での見直しは有効ですが、総額を大幅に削ることは避けます。

講師への報酬を削りすぎる失敗

人件費削減として講師の時給を下げたり、勤務時間を大幅に減らしたりすると、優秀な講師が離職するリスクが高まります。

優秀な講師が辞めると生徒の継続率が下がり、口コミも悪化します。

人件費削減は「不要なシフトの最適化」で行い、単価の削減は最終手段として避けることが重要です。

一度に削りすぎる失敗

複数の経費を同時に大幅削減すると、それぞれの影響が重なって想定以上の悪影響が出ることがあります。

一つずつ見直して効果と影響を確認しながら進めることが、失敗を防ぐ基本的な進め方です。

経費削減は「何を守り・何を減らすか」を最初に決めてから進めることが、利益率を持続的に改善する唯一の正しいやり方です。

売上を落とさずに利益率を上げることが目標であり、そのためには経費の優先順位付けと影響の確認を繰り返しながら進めることが塾経営の経費削減の基本です。

株式会社エクレ

2012年より学習塾を経営し、10年以上にわたり学習塾の経営・運営に携わる。他塾のコンサルティング・新規立ち上げ支援も手がけてきた。塾経営の現場で感じたコスト・利便性の課題を起点に、学習塾・スクール向け入退室管理システム「LINE入退クラウド」(2025年)「WebPush入退クラウド」(2026年)を開発・運営。Webサイト制作・SEO・デジタルマーケティング支援も行っている。