塾経営の経費削減はどこから始める?利益率を上げる優先順位

経営

売上が伸び悩む中で経費を見直したいと思っても、どこから手をつければいいのか判断できないという経営者は多いです。

塾経営の経費削減は、削ってはいけない経費と削れる経費を先に分類し、影響の大きい順に人件費・家賃・システム費用の優先順位で進めることが重要です。

「とにかく削る」という発想で動くと、削ってはいけない部分まで削って売上が落ちるという逆効果を招くリスクがあります。

この記事では、塾経営の経費削減を実務レベルで進めるための優先順位の決め方・各経費の具体的な削減方法・失敗パターンと対策まで解説します。

塾経営の経費削減はどこから始める?

塾経営の経費削減は、一般的な経費構造である人件費60%・家賃20%・その他20%をもとに、影響の大きい順に人件費→家賃→システム費用の順で着手することが基本です。

影響が小さい部分から手をつけると、手間ばかりかかって改善効果が小さいという結果になります。

優先順位を決める前に、削ってはいけない経費と削れる経費を先に分類しておくことが、経費削減で失敗しない前提条件です。

削ってはいけない経費

経費には「売上に直結するもの」と「売上に影響しないもの」の2種類があります。

以下は削ると収益が悪化する経費です。

  • 講師の人件費(質の高い講師は生徒の継続率に直結する)
  • 集客広告費(集客が止まると売上が下がる)
  • 生徒の学習に関わる教材費

これらを削ると短期的には利益が改善しているように見えて、3〜6ヶ月後に生徒数が減り始めるという遅延した悪影響が出ます。

削れる経費

以下は売上に影響せず削減できる経費です。

  • 使っていない機能に払い続けているシステム費用
  • 見直していない光熱費・通信費の固定費
  • 相見積もりを取っていない消耗品・備品
  • 閑散期に繁忙期と同じシフトで発生している人件費の無駄

経費率の目標設定

経費削減を始める前に、現状の経費率と目標の経費率を数字で設定することが重要です。

月商100万円・経費80万円(経費率80%)の塾が、経費率を70%に改善できれば月10万円・年間120万円の利益改善になります。

「なんとなく削る」ではなく「この経費をいくらにする」という数字の目標を決めてから動くことで、優先順位が明確になります。

現状の経費を項目別に書き出し、金額の大きい順に並べることが最初にやるべき作業です。

このように、塾経営の経費削減は人件費・家賃・システム費用の順に優先度を決め、削ってはいけない経費を先に分類してから進めることが基本です。

次は、最も影響が大きい人件費の削減方法を確認します。

塾の人件費を削減する具体的な方法

塾の人件費削減は、講師の人数を減らすのではなく、適正な配置とシフト設計の見直しで実現することが重要で、「減らす」ではなく「適正化する」という発想で進めることが教育品質を保ちながら利益率を改善する唯一の正しい方法です。

講師の数を単純に減らすと授業の質が落ち、生徒の退塾につながり、収益がむしろ悪化します。

削るべきは「人数」ではなく「非効率な配置と無駄なシフト」です。

適正な講師数の計算

個別指導の場合、講師1名あたり同時に担当できる生徒数は1〜3名が上限です。

集団指導の場合は1クラスあたり講師1名で10〜20名が目安です。

現在の生徒数と時間帯別の在籍状況を確認し、空きコマに講師が待機している状態になっていないかを確認することが第一歩です。

空きコマが多い講師がいれば、シフトの組み方を見直すことで人件費効率が改善します。

専任講師とアルバイト講師の役割分担

専任講師とアルバイト講師の役割を明確に分けることで、人件費効率を高められます。

専任講師は進路相談・保護者対応・カリキュラム管理など、経験と信頼が必要な業務を担当します。

アルバイト講師は授業の実施に専念させることで、時給コストを抑えながら指導品質を維持できます。

すべての業務を専任講師に集中させると人件費が膨らみ、すべてをアルバイトに任せると品質が下がります。

この役割分担を設計するだけで、人件費を10〜20%改善できるケースがあります。

月商100万円・人件費60万円の塾が人件費を10%削減できれば、月6万円・年間72万円の改善になります。

繁閑に合わせたシフト設計

塾の生徒数は学期によって変動します。

夏期講習・冬期講習の繁忙期と、春休みや定期テスト前後の閑散期ではシフトの必要時間数が大きく異なります。

閑散期に繁忙期と同じシフトを組んでいると、空きコマに人件費が発生し続けます。

学期ごとにシフトを見直す仕組みを作るだけで、年間の人件費を5〜10%削減できるケースがあります。

講師との雇用契約を「固定時間数」ではなく「授業コマ数に応じた変動制」にしておくと、閑散期の人件費を柔軟に調整しやすくなります。

このように、塾の人件費削減は適正な配置とシフト設計の見直しで実現することが重要で、「減らす」ではなく「適正化する」という発想で進めることが教育品質を保ちながら利益率を改善する方法です。

次は、家賃・光熱費・通信費の固定費削減方法を確認します。

塾の家賃・光熱費・通信費を削減する方法

家賃・光熱費・通信費は一度見直せば毎月継続して削減効果が出る経費で、まとめて見直すことで月3〜5万円・年間36〜60万円の削減が実現するケースがあります。

毎月自動的に支払っているこれらの固定費は「そういうものだ」と思って放置されているケースが多く、見直すだけで大きな改善効果が得られます。

家賃交渉のタイミングと進め方

家賃は、契約更新のタイミングで大家・管理会社に交渉することで、月額1〜3万円の削減が実現するケースがあります。

「近隣の物件と比較した相場」と「長期的に入居を続けるメリット」を伝えることが、交渉を成功させる基本的な材料です。

交渉が難しければ、管理費・駐車場代・共益費などの付随費用の見直しを求めるだけでも効果が出ることがあります。

月2万円の削減が実現すれば、年間24万円の固定費削減になります。

交渉のタイミングは契約更新の3〜6ヶ月前が理想で、大家側が次のテナントを探す手間を避けたいという心理を活用できます。

近隣の空室率が高いエリアや、物件の築年数が古い場合は交渉の余地が大きくなります。

移転による家賃削減も選択肢の一つですが、移転費用(敷金・礼金・内装工事・引越し・看板)と生徒への影響を必ず試算してから判断することが重要です。

光熱費の事業者変更と運用改善

電力・ガスの自由化により、事業者を変更することで光熱費を10〜15%削減できるケースがあります。

複数の事業者から見積もりを取り、年間の削減額を比較してから切り替えを判断します。

エアコンの設定温度の見直し・LED照明への切り替え・使っていない機器の電源管理など、運用の工夫だけでも月数千円〜1万円程度の削減が見込めます。

塾は夏期講習・冬期講習の時期にエアコン使用量が急増するため、この時期の電力プランを見直すだけで年間数万円の削減効果が出ることがあります。

月の光熱費が5万円の塾で15%削減できれば、月7,500円・年間9万円の改善になります。

通信費の回線見直し

Wi-Fiルーターの契約プランや法人携帯の台数・プランを確認し、不要な回線や過剰なプランがないかを確認します。

複数回線を使っている場合は、まとめて契約することで割引が受けられるケースがあります。

通信費は月額が小さく見えても、年間に換算すると意外に大きな金額になっていることがあります。

このように、家賃・光熱費・通信費は一度見直せば毎月継続して削減効果が出る経費で、まとめて見直すことで年間36〜60万円の削減が実現するケースがあります。

次は、見落としがちなシステム費用と教材費の削減方法を確認します。

塾のシステム費用・教材費の見直し方

システム費用と教材費は小さく見えても年間に換算すると大きく、一度見直すだけで継続的な削減効果が得られる経費で、特に入退室管理システムは生徒数が増えるほどコスト差が拡大するため選択が長期的な経費構造に直結します。

毎月自動で引き落とされる小さな費用は意識されにくく、気づいていないだけで積み上がっているケースが多いです。

入退室管理システムの従量課金vs定額制のコスト差

入退室管理システムは、従量課金型と定額制で生徒数が増えた時のコスト差が大きく変わります。

従量課金型の入退くんは、基本料金月額3,300円(60名まで)に加えて61名以降は1名あたり月55円が加算されます。

生徒数別のシステム料金の比較は以下の通りです。

生徒数 入退くん LINE入退クラウド 月額差 年間差
50名 3,300円 2,750円 ▲550円 ▲6,600円
100名 5,500円 3,300円 ▲2,200円 ▲26,400円
200名 11,000円 3,300円 ▲7,700円 ▲92,400円

なお入退くん・LINE入退クラウドどちらもLINE通知にはMessaging APIを使うため、月200通を超えると5,500円のAPI費用が別途かかる点は同じ条件です。

生徒30名・週2回通塾の教室でも月約480通の通知が発生するため、ほとんどの教室でMessaging APIの5,500円が加算されます。

API費用を完全になくしたい場合は、LINEを使わずスマホのブラウザ通知で保護者に知らせるWebPushプランが選択肢です。

WebPushプランは月額4,950円の完全定額で、生徒数や通知数が増えても追加費用は一切発生しません。

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教材費の仕入れ先見直しと一括購入

書店経由で仕入れている教材を出版社から直接仕入れに変更することで、10〜20%の割引が受けられるケースがあります。

複数の出版社や問屋から相見積もりを取ることも有効で、年間15〜20万円のコスト削減につながった事例があります。

使用頻度が低い高額参考書は、生徒間で回し使いできる仕組みを作ることで購入量を減らせます。

消耗品(コピー用紙・ボールペン・ファイルなど)は使用量を予測して一括購入することで、単価を10〜30%削減できます。

このように、システム費用と教材費は一度見直すだけで継続的な削減効果が得られる経費で、特に入退室管理システムは生徒数が増えるほどコスト差が拡大するため選択が長期的な経費構造に直結します。

次は、経費削減で陥りがちな失敗パターンを確認します。

塾の経費削減で陥りがちな失敗パターン

塾の経費削減で最もよくある失敗は、削ってはいけない部分を削って売上が落ち、結果的に経営が悪化するというパターンで、「何を守り・何を削るか」を最初に決めてから進めることが利益率を持続的に改善する唯一の正しいやり方です。

経費を減らすという発想だけで動くと、短期的には利益が改善しているように見えて、数ヶ月後に生徒数が減り始めるという遅延した悪影響が出ます。

集客費を削りすぎる失敗

経費削減として広告費を大幅に削ると、新規問い合わせが減り、既存生徒の退塾を補えなくなります。

塾は毎年必ず卒業・転塾による自然退塾が一定数発生するため、新規集客を止めると生徒数が徐々に減少します。

集客費は「削れるコスト」ではなく「投資対効果で管理するコスト」として扱うことが重要です。

効果の低い媒体を絞る・チラシの配布エリアを最適化するという形での見直しは有効ですが、総額を大幅に削ることは避けます。

Googleビジネスプロフィールへの投稿・口コミの収集など、無料でできる集客活動に移行しながら広告費を最適化する方向が正しいアプローチです。

講師への報酬を削りすぎる失敗

人件費削減として講師の時給を下げたり、勤務時間を大幅に減らしたりすると、優秀な講師が離職するリスクが高まります。

優秀な講師が辞めると生徒の継続率が下がり、口コミも悪化します。

人件費削減は「不要なシフトの最適化」で行い、単価の削減は最終手段として避けることが重要です。

特に生徒からの信頼が厚い講師の離職は、その講師を目当てに通っていた生徒の集団退塾につながるリスクがあります。

講師の満足度を維持しながら生産性を上げるという方向で人件費を管理することが、塾経営での正しい人件費削減の考え方です。

一度に削りすぎる失敗

複数の経費を同時に大幅削減すると、それぞれの影響が重なって想定以上の悪影響が出ることがあります。

一つずつ見直して効果と影響を確認しながら進めることが、失敗を防ぐ基本的な進め方です。

最初の1ヶ月は経費の洗い出しと優先順位の整理、2〜3ヶ月目は人件費のシフト最適化、4〜6ヶ月目は固定費の見直し、というように段階的に進めることで影響を管理しやすくなります。

経費削減と同時に、売上の維持・向上策を並行して進めることが長期的な利益率改善の条件です。

このように、塾の経費削減で最もよくある失敗は削ってはいけない部分を削ることで、「何を守り・何を削るか」を最初に決めてから進めることが利益率を持続的に改善する唯一の正しいやり方です。

株式会社エクレ

2012年より学習塾を経営し、10年以上にわたり学習塾の経営・運営に携わる。他塾のコンサルティング・新規立ち上げ支援も手がけてきた。塾経営の現場で感じたコスト・利便性の課題を起点に、学習塾・スクール向け入退室管理システム「LINE入退クラウド」(2025年)「WebPush入退クラウド」(2026年)を開発・運営。Webサイト制作・SEO・デジタルマーケティング支援も行っている。