塾経営が儲からない5つの理由と収益改善の具体策!解決法とは?

経営

「塾経営は儲からない」という声を、業界内外でよく耳にします。

実際、開業したものの思うように収益が上がらず、苦戦している塾経営者は少なくありません。

では、なぜ塾経営が儲からないのでしょうか。

その理由を理解せずに経営を続けても、状況は改善しません。

10年以上学習塾を経営してきた経験から、塾経営が儲からない本質的な理由と、それを打開するための具体的な収益改善策をお伝えします。

塾経営が儲からない本質的な理由とは

塾経営が儲からない本質的な理由は、固定費の高さと生徒数の不安定さ、そして価格競争に巻き込まれやすい構造にあります。

多くの人は「教育ビジネスは安定している」「需要がなくならない」というイメージを持っていますが、実態は大きく異なります。塾経営が儲からない理由を正しく理解することで、初めて適切な対策が見えてきます。

まず、塾経営の最大の課題は固定費の重さです。教室の家賃、専任講師の人件費、光熱費、システム費用など、生徒数に関わらず毎月発生する固定費が経営を圧迫します。特に都市部では家賃が高く、20〜30坪の教室でも月20〜30万円以上かかることが珍しくありません。専任講師を1人雇えば、月25〜35万円程度の人件費が必要です。これらの固定費を賄うだけでも、相当数の生徒が必要となります。

次に、生徒数の変動が大きいことも儲からない理由です。塾業界には繁忙期と閑散期があり、受験シーズンや新学期は生徒が増えますが、それ以外の時期は退塾者が出やすくなります。特に個別指導塾では、生徒一人ひとりのニーズが異なるため、継続率のコントロールが難しく、安定的な収益確保が困難です。毎月10人入会しても10人退塾すれば、売上は変わらないどころか、新規獲得コストだけがかさみます。

また、価格競争に陥りやすい構造も問題です。大手塾チェーンや個人塾が乱立する中、差別化できずに価格で勝負せざるを得ない塾は利益率が低下します。「近所の塾より安くしないと生徒が来ない」という発想で値下げすると、一時的に生徒は集まっても、収益性は大幅に悪化します。月謝を下げれば、それだけ多くの生徒を集めなければ同じ売上にならず、結果として講師不足や指導品質の低下を招きます。

さらに、集客コストの上昇も見逃せません。以前は口コミやチラシだけで生徒が集まりましたが、今はホームページ、SEO対策、Web広告、SNS運営など、デジタルマーケティングへの投資が必要です。これらを外注すれば月10〜20万円以上かかることもあり、自分でやるにも時間と労力が必要です。集客に成功しても、その費用が収益を圧迫するケースが多々あります。

加えて、講師の確保と育成の難しさも収益性を下げる要因です。優秀な講師を雇えば人件費が上がり、アルバイト講師に頼れば教育コストと離職率の問題が発生します。講師が定着せず、常に採用と教育を繰り返す状態では、経営者の時間が奪われ、本来の経営改善に注力できません。

10年以上の経営経験から痛感するのは、塾経営が儲からないのは、単に努力不足ではなく、ビジネスモデル自体の構造的な問題があるということです。この構造を理解せずに「もっと頑張れば」と精神論で乗り切ろうとすると、疲弊するだけで収益は改善しません。

塾経営が儲からない本質を理解することが、収益改善の第一歩です。

それでは、具体的に塾経営が儲からない5つの理由について詳しく見ていきましょう。

塾経営が儲からない5つの具体的な理由

塾経営が儲からない理由を、5つの具体的なポイントに分けて解説します。

これらの理由を一つずつ理解し、自塾がどこに当てはまるかを分析することで、改善の糸口が見えてきます。多くの塾が複数の理由を抱えているため、総合的な対策が必要です。

1. 損益分岐点を超える生徒数を確保できない

最も基本的な理由が、損益分岐点となる生徒数に達していないことです。固定費を賄うために必要な生徒数を把握していない、あるいは把握していても達成できていない状態では、当然儲かりません。

例えば、月の固定費が50万円、生徒1人あたりの粗利が1.5万円なら、損益分岐点は約34名です。これを下回れば赤字、上回れば黒字となります。まず自塾の損益分岐点を正確に計算し、それを超える生徒数を目標とすることが重要です。

2. 生徒単価が低すぎる

月謝設定が低すぎて、多くの生徒を抱えても利益が出ない状態です。競合に対抗して安易に値下げした結果、薄利多売となり、忙しいだけで儲からない経営に陥ります。

適正な価格設定を見直し、必要であれば値上げを検討することも重要です。値上げで多少生徒が減っても、全体の収益が改善するケースは多々あります。

3. 人件費率が高すぎる

講師への給与が売上に対して高すぎる状態です。特に個別指導塾では、生徒1人に講師1人がつくため、人件費率が50%を超えることも珍しくありません。

講師の配置を見直し、グループ指導の導入や、オンライン教材の活用により、人件費率を適正化することが必要です。

4. 稼働率が低い

教室や講師の稼働率が低く、キャパシティを活かしきれていない状態です。平日の昼間や土日が空いている、講師が十分な授業数を担当していないなど、リソースの無駄があります。

時間帯や曜日の工夫、新たなコース設定により、稼働率を上げることで、同じ固定費でより多くの売上を生み出せます。

5. 退塾率が高すぎる

新規生徒を獲得しても、すぐに辞めてしまう状態です。入会数と退塾数がほぼ同じでは、集客コストがかさむだけで、生徒数は増えません。

生徒満足度の向上、保護者とのコミュニケーション強化により、継続率を高めることが、安定した収益確保の鍵となります。

これら5つの理由を分析し、自塾の課題を明確にすることが、収益改善の出発点です。

次は、収益を改善するための具体的な方法について解説します。

塾経営の収益を改善する具体的な方法

塾経営の収益を改善する方法は、売上の最大化とコストの最適化を同時に進めることです。

儲からない状態から脱却するには、「売上を増やす」「コストを減らす」「効率を上げる」の3つの視点から、総合的に取り組む必要があります。

生徒単価の見直し

まず、月謝設定を見直しましょう。近隣の塾と比較して極端に安い場合は、値上げを検討します。ただし、値上げと同時にサービス品質を向上させることが重要です。

新しいコースやオプションを追加し、単価アップの選択肢を提供することも効果的です。例えば、通常コースに加えて、受験対策コース、オンライン自習室利用など、付加価値の高いサービスを用意します。

生徒数の増加

損益分岐点を超える生徒数を確保することが最優先です。効果的な集客施策として、ホームページのSEO対策、Googleビジネスプロフィールの最適化、紹介キャンペーンの実施などを行います。

無料体験授業の質を高め、体験から入会への転換率を上げることも重要です。保護者の不安を解消し、「この塾なら安心」と思ってもらう仕組みを作りましょう。

コスト削減の工夫

固定費を見直し、無駄なコストを削減します。家賃交渉、不要なサービスの解約、光熱費の削減など、できることから始めましょう。

ただし、教育の質に関わる部分でのコスト削減は慎重に行う必要があります。安易な人件費削減は、サービス品質の低下を招きます。

稼働率の向上

教室や講師のキャパシティを最大限活用します。空いている時間帯に新たなコースを設定したり、オンライン授業を組み合わせたりすることで、同じリソースでより多くの売上を生み出せます。

当社が提供するLINE入退クラウドのような管理システムを活用すれば、スケジュール管理が効率化され、稼働率向上にもつながります。

継続率の向上

退塾率を下げることは、新規獲得よりも費用対効果が高い施策です。定期的な面談、成績管理の徹底、保護者とのコミュニケーション強化により、満足度を高めましょう。

こどもが「塾が楽しい」と感じ、保護者が「成績が上がっている」と実感できる環境を作ることが、継続率向上の鍵です。

収益改善には、これらの施策を組み合わせた総合的なアプローチが必要です。

続いて、儲かる塾経営に転換するための戦略について説明します。

儲かる塾経営に転換するための戦略

儲かる塾経営に転換するための戦略は、差別化と効率化を両立させることです。

価格競争から抜け出し、独自の価値を提供しながら、効率的な運営を実現することで、持続可能な収益モデルを構築できます。

明確な差別化ポイントの確立

「他の塾と何が違うのか」を明確にすることが重要です。中学受験専門、英語特化、不登校支援など、特定の分野に特化することで、その分野を求める保護者から選ばれやすくなります。

差別化ポイントは、保護者が友人に説明しやすい形で提示しましょう。「あそこの塾は〇〇が強い」という評判が広がることで、紹介も増えます。

システム化による効率化

業務のシステム化により、経営者や講師の時間を本来の教育活動に集中させられます。入退室管理、成績管理、保護者連絡などをデジタル化することで、事務作業を大幅に削減できます。

効率化により生まれた時間を、生徒指導の質向上や経営改善に充てることで、好循環が生まれます。

複数収益源の構築

通常の授業だけでなく、季節講習、オンライン講座、教材販売など、複数の収益源を持つことでリスク分散できます。繁忙期と閑散期の売上変動を平準化する工夫も重要です。

オンラインとオフラインを組み合わせることで、地理的制約を超えた展開も可能になります。

データに基づく経営判断

感覚ではなく、データに基づいた意思決定を行うことが重要です。生徒数、売上、コスト、継続率などを定期的に分析し、問題の早期発見と改善を行いましょう。

月次での収支確認を習慣化し、数字の変化に敏感になることが、儲かる経営への第一歩です。

長期的視点での投資

短期的な利益だけを追うのではなく、長期的な成長のための投資も必要です。講師教育、設備改善、マーケティングなど、将来の収益向上につながる投資を計画的に行いましょう。

ただし、投資対効果を常に検証し、無駄な出費は避けることが重要です。

儲かる塾経営への転換には、戦略的な視点と実行力が求められます。

最後に、塾経営で成功するために必要な心構えについて考えてみましょう。

塾経営で成功するために必要な心構え

塾経営で成功するために必要な心構えは、教育への情熱と冷静な経営判断を両立させることです。

「こどもたちのために」という教育者としての想いは大切ですが、それだけでは経営は成り立ちません。ビジネスとして成立させるための冷静さも必要です。

経営者としての意識

塾経営者は、教育者であると同時に経営者です。指導に情熱を注ぐことは重要ですが、数字を見る、戦略を立てる、リスク管理をするといった経営者としての役割も果たさなければなりません。

「良い授業をしていれば生徒は集まる」という考えは危険です。良い授業は前提であり、それに加えて集客、運営、財務管理などの経営スキルが必要です。

継続的な学習と改善

教育業界は常に変化しています。入試制度の変更、デジタル化の進展、保護者ニーズの多様化など、環境変化に対応する柔軟性が求められます。

新しい指導法、集客方法、運営ノウハウを継続的に学び、自塾に取り入れる姿勢が重要です。他塾の成功事例を研究し、良い点は積極的に導入しましょう。

適切なリスク管理

塾経営には様々なリスクがあります。生徒数の急減、講師の一斉退職、大手チェーンの進出など、予期せぬ事態に備えることが重要です。

一定の運転資金を確保し、複数の集客チャネルを持ち、講師の育成体制を整えるなど、リスクヘッジを行いましょう。

自分の限界を知る

すべてを一人でやろうとせず、必要に応じて外部の力を借りることも重要です。経理は税理士に、Web制作は専門家に依頼するなど、自分の得意分野に集中することで、効率が上がります。

無理な拡大を避け、自分が管理できる範囲で着実に成長させることが、持続可能な経営につながります。

生徒と保護者への誠実さ

最終的に、塾経営の成功は生徒と保護者からの信頼に支えられています。目先の利益のために無理な勧誘をしたり、質の低いサービスを提供したりすれば、必ず評判が悪化します。

誠実な運営を続けることで、口コミでの評判が広がり、長期的な成功につながります。

塾経営で成功するには、情熱と冷静さ、理想と現実のバランスが重要です。10年以上の経営経験から確信しているのは、「塾経営が儲からない」という状況は、適切な戦略と実行により必ず改善できるということです。本記事で紹介した方法を一つずつ実践し、自塾に合った収益モデルを構築することで、持続可能で儲かる塾経営が実現できます。