英語教室開業方法!必要な準備・資金・手続きと成功のポイント

経営

英語教室の開業を考えている方にとって、何から準備を始めればいいのか、どのような手続きが必要なのか、不安や疑問が多いのではないでしょうか。

教育への熱意はあっても、実際に教室を始めるとなると、事業計画や資金調達、カリキュラム作成、生徒募集など、様々な課題に直面します。

事前にしっかりと準備をしておくことで、スムーズなスタートを切ることができ、開業後の失敗リスクも大きく減らすことができます。

10年以上スクールビジネスを運営してきた経験をもとに、英語教室開業に必要な準備、資金、手続き、そして成功のポイントを具体的にお伝えします。

英語教室開業に必要な準備とは?

英語教室開業に必要な準備は、コンセプトとターゲットの明確化、カリキュラムの作成、立地選定、競合分析、料金設定の5つです。

コンセプトとターゲットを明確にすることが第一歩です。子ども向けか大人向けか、初心者向けか上級者向けか、日常会話か資格試験対策か、グループレッスンか個別レッスンかなど、どのような英語教室にするのかを明確にします。「すべての年齢、すべてのレベルに対応」という方針は、開業時には現実的ではありません。まずは得意分野に絞り込み、そこで実績を作ってから展開していく方が成功しやすいです。

例えば、「小学生向けの英会話教室」「ビジネス英語に特化した大人向け教室」「TOEIC対策専門の教室」など、明確なコンセプトがあれば、集客の際のメッセージも明確になります。

カリキュラムを作成することも重要です。どのような内容をどのくらいの期間で教えるのか、教材は何を使うのか、レベル分けはどうするのかを計画します。既存の教材を使う場合は、出版社や教材会社と契約が必要です。オリジナルカリキュラムを作成する場合は、レッスンプランを詳細に設計しましょう。

レッスン時間も決めます。1回45分、60分、90分など、ターゲットに合わせた適切な時間を設定します。子ども向けは短め、大人向けは長めが一般的です。また、週1回なのか週2回なのか、頻度も考慮します。

立地選定も成功の鍵です。子ども向けであれば、住宅街に近く保護者が送迎しやすい場所、学校の近くなどが適しています。大人向けであれば、駅から近くビジネスパーソンが通いやすい場所が良いでしょう。自宅での開業も選択肢ですが、生徒が通いやすいかどうかを考慮する必要があります。

競合分析も欠かせません。周辺にどのような英語教室があり、どのような特徴を持ち、料金はいくらかを調査します。競合との差別化ポイントを見つけることで、「この教室を選ぶ理由」が明確になります。大手英会話スクールとは、料金、アットホームさ、個別対応などで差別化できます。

料金設定は、周辺相場を参考にしながら決めます。安すぎると経営が成り立たず、高すぎると生徒が集まりません。提供する価値に見合った適正価格を設定しましょう。月謝制が一般的ですが、チケット制や回数券制など、複数の選択肢を用意することも効果的です。

コンセプト、カリキュラム、立地、競合分析、料金設定という5つの準備を整えることで、開業への道筋が明確になります。

それでは、実際にどのような手順で英語教室を開業していくのか見ていきましょう。

英語教室開業の具体的な手順

英語教室開業の手順は、物件の確保、内装と設備の準備、教材の調達、講師の確保、生徒募集活動の順で進めます。

物件の確保は、自宅で開業するか、賃貸物件を借りるかによって異なります。自宅開業の場合は、レッスン用のスペースを確保し、生徒が出入りしやすい環境を整えます。賃貸の場合は、不動産業者に相談し、教室として使える物件を探します。広さは、グループレッスンであれば15〜30平米程度、個別レッスン中心であれば10〜20平米程度が目安です。

物件契約の際は、用途が「教室・スクール」として使用可能かを必ず確認しましょう。住居用物件では教室の営業ができない場合があります。また、防音性も重要です。声を出すレッスンのため、隣室への音漏れがないか確認が必要です。

内装と設備の準備では、レッスンに必要な環境を整えます。ホワイトボード、机、椅子、本棚、エアコン、照明などの基本設備を揃えます。子ども向けの場合は、明るく楽しい雰囲気の内装にすると効果的です。また、オンラインレッスンにも対応する場合は、パソコン、Webカメラ、マイク、安定したインターネット回線も必要です。

待合スペースがあると、保護者が送迎の際に待つことができるため、満足度が高まります。簡単な椅子やソファを置くだけでも印象が良くなります。

教材の調達は、使用する教材を決めて購入します。市販のテキストを使う場合は、出版社や書店から仕入れます。オンライン教材やアプリを活用する場合は、ライセンス契約が必要です。オリジナル教材を作成する場合は、プリント教材を印刷するためのプリンターが必要です。

CD教材やDVD教材を使う場合は、再生機器も用意します。最近では、タブレットやプロジェクターを活用した映像教材も効果的です。

講師の確保は、自分一人で教える場合は不要ですが、複数の講師が必要な場合は採用します。ネイティブ講師を採用する場合は、就労ビザの確認が必要です。日本人講師の場合は、英語力だけでなく、教える力やコミュニケーション能力を重視しましょう。

講師を採用する際は、模擬レッスンをしてもらい、実際の指導力を確認することが重要です。また、採用後は研修を行い、教室の方針や指導方法を共有します。

生徒募集活動は、開業の1〜2ヶ月前から始めます。チラシのポスティング、ホームページの開設、SNSでの情報発信、無料体験レッスンの実施などを行います。開業キャンペーンとして、入会金無料や初月授業料割引などの特典を用意すると、初期の生徒獲得がしやすくなります。

地域の掲示板や口コミサイトへの登録、Googleマイビジネスへの登録も忘れずに行いましょう。また、既存の知人や友人に声をかけることも、最初の生徒獲得に有効です。

物件、内装、教材、講師、生徒募集という流れで準備を進めることで、スムーズに英語教室を開業できます。

次に、英語教室開業にどのくらいの資金が必要になるのか確認していきましょう。

英語教室開業に必要な資金

英語教室開業に必要な資金は、自宅開業で50万円〜150万円、賃貸物件で200万円〜400万円程度が目安です。

自宅開業の場合、物件取得費用がかからないため、初期費用を大幅に抑えられます。主な費用は、内装の簡単な改装費、教材費、備品費、広告宣伝費です。内装改装費は、レッスンスペースを整える程度であれば10万円〜30万円程度です。教材費は、使用するテキストや副教材で10万円〜20万円、備品費は、ホワイトボード、机、椅子、本棚などで20万円〜50万円程度です。

広告宣伝費は、チラシ作成とポスティングで5万円〜10万円、ホームページ制作で10万円〜30万円が目安です。これらを合計すると、自宅開業では50万円〜150万円程度の初期費用となります。

賃貸物件で開業する場合、物件取得費用が大きくなります。敷金は家賃の2〜3ヶ月分、礼金は1〜2ヶ月分、仲介手数料は1ヶ月分、前家賃を合わせると、家賃が10万円の物件で50万円〜70万円程度が必要です。

内装工事費は、物件の状態によりますが、簡単な改装で30万円〜80万円、本格的な内装工事で100万円〜150万円程度かかります。防音対策が必要な場合は、さらに費用が上乗せされます。

備品・設備費は、机、椅子、ホワイトボード、本棚、エアコン、照明、看板などで50万円〜100万円程度です。新品で揃えると高額になるため、中古品を活用することでコストを抑えられます。

教材費は、生徒10名程度を想定して10万円〜20万円、広告宣伝費は20万円〜40万円程度を見込みます。これらを合計すると、賃貸物件での開業では200万円〜400万円程度の初期費用となります。

運転資金も確保しておく必要があります。開業直後は生徒数が少なく、収入が安定しないため、最低でも3〜6ヶ月分の固定費を準備しておきましょう。賃貸物件の場合、家賃、光熱費、通信費などで月15万円〜25万円程度かかるため、運転資金として50万円〜150万円が必要です。

自己資金で足りない場合は、日本政策金融公庫の創業融資や銀行の事業融資を検討します。事業計画書をしっかり作成し、収益見込みを示すことで、融資を受けやすくなります。

自宅開業で50万円〜150万円、賃貸物件で200万円〜400万円の資金を準備することで、英語教室を開業できます。

それでは、英語教室開業に必要な手続きや届出について確認していきましょう。

英語教室開業に必要な手続きと届出

英語教室開業に必要な手続きは、個人事業主の場合は開業届の提出のみで、特別な資格や許認可は不要です。

個人事業主として開業する場合、税務署に開業届を提出します。正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」で、事業開始から1ヶ月以内に提出する必要があります。届出に費用はかかりません。開業届を提出することで、確定申告が必要になりますが、屋号で銀行口座を開設できるメリットがあります。

青色申告承認申請書も同時に提出することをおすすめします。青色申告にすることで、最大65万円の特別控除が受けられ、税制上のメリットが大きいです。開業日から2ヶ月以内に提出する必要があります。

法人として開業する場合は、会社設立登記を行います。株式会社または合同会社を設立することが一般的で、登記費用として株式会社で25万円程度、合同会社で10万円程度がかかります。登記完了後、法人設立届出書を税務署、都道府県税事務所、市区町村役場に提出します。

英語教室の開業には、特別な資格や許認可は不要です。教員免許や英語検定などの資格がなくても、英語教室を開業できます。ただし、信頼性を高めるために、TOEIC高得点、英検1級、TESOL(英語教授法)などの資格を持っていることは、集客面でプラスになります。

従業員を雇用する場合は、労災保険と雇用保険への加入が必要です。労働基準監督署とハローワークで手続きを行います。常時5人以上の従業員がいる場合は、健康保険と厚生年金保険への加入も必要になります。

事業用の銀行口座とクレジットカードを作っておくと、帳簿管理が楽になります。個人の口座と分けることで、事業の収支が明確になります。会計ソフトを導入することで、日々の収支管理や確定申告の準備がスムーズに行えます。

賃貸借契約書、領収書、教材の購入記録などの書類は、確定申告や税務調査の際に必要になるため、しっかり保管しておきましょう。

開業届の提出のみで法的に問題なく英語教室を開業でき、特別な資格や許認可は不要です。

次に、英語教室開業で成功するために押さえておくべきポイントを見ていきましょう。

英語教室開業で成功するためのポイント

英語教室開業で成功するには、明確な差別化、効果的な集客、レッスンの質の維持、生徒の継続率向上が必要です。

明確な差別化を持つことが成功の鍵です。大手英会話スクールとの差別化として、「少人数制で一人ひとりに丁寧に対応」「地域密着で通いやすい」「リーズナブルな料金設定」「講師の質の高さ」などの強みを打ち出しましょう。また、「子ども専門」「ビジネス英語特化」「TOEIC対策専門」など、専門性を明確にすることも効果的です。

「何でも教えます」という教室ではなく、「〇〇に強い教室」という明確な特徴があれば、選ばれる理由になります。自分の得意分野や経験を活かした差別化を考えましょう。

効果的な集客方法を確立することも重要です。チラシのポスティングは、ターゲット層が住むエリアに絞って配布します。ホームページやブログで、教室の特徴、レッスン内容、料金、講師紹介などを詳しく掲載しましょう。GoogleマイビジネスやSNSも活用し、定期的に情報発信することで認知度が高まります。

無料体験レッスンを提供することで、入会のハードルを下げられます。体験レッスンで教室の雰囲気や講師の質を実感してもらうことで、入会率が高まります。また、既存生徒からの紹介を促進するために、紹介特典を設けることも効果的です。

地域のイベントに参加する、学校の近くでチラシを配る、地域の掲示板に情報を貼るなど、地道な活動も集客につながります。

レッスンの質を維持することも成功の要因です。分かりやすい説明、生徒のレベルに合わせた指導、楽しく学べる雰囲気づくりなど、生徒が「この教室に通って良かった」と感じられるレッスンを提供しましょう。定期的にアンケートを取り、改善点を見つけて対応することも大切です。

講師を雇用する場合は、定期的に研修を行い、指導レベルを統一します。講師によって質がバラバラだと、生徒の満足度が下がります。

生徒の継続率を向上させることも重要です。英語力の向上を実感できるよう、定期的にレベルチェックを行い、成長を可視化しましょう。また、保護者とのコミュニケーションを密に取り、レッスンの様子を報告することで、信頼関係が深まります。

イベントや発表会を開催することで、生徒同士の交流が生まれ、コミュニティ意識が高まります。楽しい雰囲気があれば、長く通い続けてもらえます。

料金設定も継続率に影響します。適正な価格で、提供する価値に見合ったサービスを提供することが大切です。また、長期契約割引や兄弟割引などの制度を設けることで、継続を促進できます。

差別化、集客力、レッスンの質、継続率向上により、英語教室開業を成功に導くことができます。

最後に、英語教室開業でよくある失敗とその対策を確認しましょう。

英語教室開業でよくある失敗と対策

英語教室開業でよくある失敗は、生徒が集まらない、継続率が低い、収益化できない、差別化ができないの4つです。

生徒が集まらない失敗は、最も多いパターンです。開業したものの、思うように生徒が集まらず、運営資金が底をつくケースがあります。この対策として、開業前に周辺地域の市場調査を徹底的に行い、需要があるかを確認しましょう。また、開業時の集客に力を入れ、無料体験レッスンやキャンペーンを積極的に実施します。

立地が悪いと、どんなに良いレッスンを提供しても生徒は集まりません。ターゲット層が通いやすい場所を選ぶことが重要です。自宅開業の場合は、通いにくい場所であれば、オンラインレッスンも併用することを検討しましょう。

継続率が低い失敗も深刻です。せっかく生徒が入会しても、数ヶ月で辞めてしまうと、経営が安定しません。この対策として、生徒の満足度を高めることに注力します。レッスンの質を維持し、生徒一人ひとりの成長をサポートしましょう。

定期的に面談を行い、生徒や保護者の悩みを聞き取ることも大切です。不満が大きくなる前に対処することで、退会を防げます。また、英語力の向上を実感できるよう、定期的なテストや発表の機会を設けることも効果的です。

収益化できない失敗もあります。生徒は集まっているものの、経費が多く、利益が出ない状況です。この対策として、開業前に収支計画をしっかり立て、損益分岐点を把握しておきましょう。何人の生徒がいれば黒字になるかを計算し、それを目標に運営します。

無駄な経費を削減することも重要です。過剰な備品を買わない、広告費を効率的に使う、光熱費を抑えるなど、コスト意識を持って運営しましょう。また、料金設定が安すぎる場合は、見直しを検討します。

差別化ができず競合に負ける失敗もあります。近隣に大手英会話スクールや他の英語教室があると、価格や規模で勝負しても勝ち目がありません。この対策として、独自の価値を打ち出すことが重要です。大手にはできない細やかなサービス、専門性の高さ、地域密着の強みなどを活かしましょう。

「この教室でなければダメ」という理由を作ることで、競合の中でも選ばれる教室になれます。自分の強みを明確にし、それを前面に出すことが大切です。

講師の確保と育成に失敗するケースもあります。講師が定着しない、講師の質が低いという問題があると、生徒満足度が下がります。講師を雇用する場合は、適正な給与を支払い、働きやすい環境を整えることが必要です。また、定期的な研修を行い、スキルアップの機会を提供しましょう。

集客の徹底、継続率の向上、収支管理、明確な差別化により、よくある失敗を避け、英語教室開業を成功させることができます。