塾を運営していて、生徒が敬意を持たない態度を取ることに悩んでいる方は多いでしょう。
注意しても言うことを聞かない、授業中に私語が多い、講師の指示を無視する。
こうした生徒にどう対応すれば良いのかわからない。
そんな悩みを抱えていませんか。
本記事では、10年間学習塾を運営してきた経験から、生徒が敬意を持たない原因と具体的な対処法、改善しない場合の対応まで詳しく解説します。
塾の生徒が敬意ない状況を放置すると、教室全体の雰囲気が悪化し、他の生徒にも悪影響が出るため、早めの対応が重要です。
塾の生徒が敬意ない原因とは?
塾の生徒が敬意を持たない態度を取る原因は、主に3つあります。
1つ目は講師の指導力不足です。講師が授業で的確な指導ができていなかったり、生徒をコントロールする力が弱かったりすると、生徒は講師を軽く見るようになります。2つ目は教室の雰囲気作りができていないことです。規律のない教室では、生徒は好き勝手に振る舞います。3つ目は最初の関係性の作り方が甘いことです。入塾時や初回授業で講師の立場を明確にしておかないと、後から修正するのは非常に難しくなります。
これらの原因を理解したうえで、具体的な対策を考える必要があります。
それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。
講師の指導力不足
塾の生徒が敬意を持たない最大の原因は、講師の指導力不足です。
指導力とは、単に勉強を教える能力だけではありません。生徒の学力を確実に向上させる力、わかりやすく説明する力、生徒のやる気を引き出す力、そして教室を統率する力すべてを含みます。
例えば、授業中の説明がわかりにくく、生徒が理解できないまま進んでしまうと、生徒は「この先生の授業は意味がない」と感じ始めます。また、質問に的確に答えられなかったり、間違った説明をしてしまったりすると、講師への信頼が一気に崩れます。
さらに、成績が上がらない状態が続くと、生徒は講師を尊敬しなくなります。「この先生に習っても成績が上がらない」と感じれば、授業を真剣に聞く理由がなくなり、私語や内職が増えていきます。
講師の指導力は一朝一夕では身につきません。新人講師の場合、授業スキルが不足しているのは当然です。しかし、研修や先輩講師の授業見学を通じて、できるだけ早く指導力を高める努力が必要です。
また、生徒をコントロールする力も重要です。授業中に私語をする生徒を注意できなかったり、注意しても毅然とした態度を取れなかったりすると、生徒は「この先生は甘い」と判断し、さらに態度が悪化します。
講師の指導力不足は、生徒が敬意を持たない直接的な原因になります。
次に、教室の雰囲気についても見ていきましょう。
教室の雰囲気作りができていない
教室全体の雰囲気が緩いと、生徒は敬意を持たなくなります。
規律のない教室では、生徒は好き勝手に振る舞います。授業開始時刻になっても私語が止まらない、遅刻しても謝らない、宿題をやってこなくても平気な顔をしている。こうした状況を放置していると、「この塾ではルールを守らなくても大丈夫」という空気が教室全体に広がります。
また、他の生徒が講師に対して無礼な態度を取っているのを見ると、それが伝染します。1人の生徒が講師をなめた態度を取っているのを放置すると、他の生徒も「あの子があんな態度でも怒られないなら、自分も大丈夫」と考え始めます。
教室の雰囲気は、塾長や教室長の責任です。講師任せにせず、教室全体で「ここは勉強する場所であり、講師には敬意を持つべき」という文化を作る必要があります。
教室の雰囲気は一度崩れると立て直すのが非常に難しいです。最初から厳しめにルールを設定し、徹底することが重要です。
具体的には、授業開始のチャイムが鳴ったら全員が席に着いて静かにする、遅刻したら必ず謝罪する、宿題を忘れたら居残りや追加課題を課す、といったルールを明確にし、例外なく適用します。
教室の雰囲気作りができていないと、生徒は講師を軽視するようになります。
さらに、最初の関係性の作り方も重要です。
最初の関係性の作り方が甘い
入塾時や初回授業での関係性の作り方が甘いと、後から修正するのは非常に難しくなります。
最初に「優しい先生」「友達のような先生」として接してしまうと、生徒は講師を対等か、場合によっては下に見るようになります。特に中学生や高校生は、講師との距離感を敏感に察知し、一度「この先生は甘い」と判断すると、態度が急速に悪化します。
初回授業では、講師としての威厳を示すことが重要です。笑顔で接することは大切ですが、同時に「この先生は厳しい」「ルールには厳格」という印象を与える必要があります。
例えば、初回授業で教室のルールを明確に説明し、「このルールを守れない人は、この塾には合いません」とはっきり伝えます。また、宿題の提出や授業態度についても、最初から厳しい基準を設定します。
一度緩い関係を作ってしまうと、後から厳しくするのは至難の業です。生徒は「なんで急に厳しくなったの?」と反発し、保護者からも「前は優しかったのに」とクレームが来ることもあります。
最初の1ヶ月で講師と生徒の関係性がほぼ決まります。この期間に甘い対応をしてしまうと、後から取り返すのは非常に困難です。
最初の関係性の作り方が甘いと、生徒は講師に敬意を持たなくなります。
生徒が敬意を持たない原因を理解したら、次は具体的な対策を見ていきましょう。
敬意を持たせるための具体的対策
生徒に敬意を持たせるための具体的対策は、大きく3つあります。
1つ目は初回授業での威厳の示し方です。最初の印象が非常に重要で、ここで講師としての立場を明確にします。2つ目はルールの明確化と徹底です。曖昧なルールではなく、具体的で誰が見てもわかるルールを設定し、例外なく適用します。3つ目は毅然とした態度で接することです。生徒が不適切な態度を取ったときに、すぐに毅然とした態度で注意することが重要です。
これらの対策を実践することで、生徒は講師に敬意を持つようになります。
それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。
初回授業での威厳の示し方
初回授業で講師としての威厳を示すことは、生徒に敬意を持たせるための最重要ポイントです。
まず、服装や身だしなみを整えます。だらしない格好では威厳は示せません。きちんとした服装で、背筋を伸ばして教室に入ります。
次に、自己紹介の際に、自分の指導実績や合格実績を具体的に伝えます。「これまで〇〇高校に△名合格させました」「昨年は全員が志望校に合格しました」など、数字で示すと説得力が増します。
そして、教室のルールを明確に説明します。「授業開始のチャイムが鳴ったら全員着席」「宿題は必ずやってくる」「私語は一切禁止」など、具体的なルールを列挙し、「これが守れない人は、この塾には合いません」とはっきり伝えます。
さらに、初回授業の内容を濃くします。「この先生の授業はわかりやすい」「成績が上がりそう」と思わせることができれば、生徒は自然と敬意を持つようになります。
初回授業で厳しすぎると思われるくらいがちょうど良いです。後から緩めることはできますが、最初に緩いと後から厳しくするのは困難です。
また、初回授業で生徒をほめることも忘れてはいけません。厳しいだけでなく、良いところは積極的に認めます。「この問題を解けたのはすごい」「よく集中できているね」など、適切にほめることで、生徒は「厳しいけど認めてくれる先生」と感じ、信頼関係が生まれます。
初回授業での威厳の示し方が、その後の関係性を大きく左右します。
次に、ルールの明確化についても見ていきましょう。
ルールの明確化と徹底
教室のルールを明確にし、例外なく徹底することが重要です。
曖昧なルールでは、生徒は「どこまでが許されるのか」を試すようになります。明確なルールがあり、それが徹底されていれば、生徒は「このルールは絶対」と理解し、従うようになります。
ルールを設定する際のポイントは、具体的であることです。「真面目に授業を受けること」では曖昧すぎます。「授業中の私語は禁止」「スマホは電源を切ってカバンにしまう」「宿題を3回忘れたら保護者面談」など、誰が見ても理解できる具体的なルールにします。
また、ルールを破った場合の対応も明確にします。「1回目は口頭注意、2回目は反省文、3回目は保護者連絡」など、段階的な対応を決めておきます。
そして、ルールは例外なく適用します。「今日だけは特別」「この子だけは許す」といった対応をすると、ルールが形骸化します。成績の良い生徒でも、人気のある生徒でも、ルールを破れば同じように対応することが重要です。
ルールの徹底は最初の1ヶ月が勝負です。この期間に甘い対応をすると、後から厳しくするのは非常に困難になります。
ルールは紙に書いて教室に掲示し、入塾時に保護者にも説明します。保護者の理解を得ておくことで、後からトラブルになりにくくなります。
ルールの明確化と徹底が、生徒に敬意を持たせる基盤になります。
さらに、日々の態度も重要です。
毅然とした態度で接する
生徒が不適切な態度を取ったときに、すぐに毅然とした態度で注意することが重要です。
「毅然とした態度」とは、怒鳴ったり感情的になったりすることではありません。冷静に、しかし厳しく、ルール違反を指摘し、改善を求めることです。
例えば、授業中に私語をしている生徒がいたら、すぐに授業を止めて「私語は禁止です。静かにしてください」とはっきり伝えます。このとき、曖昧な言い方をしてはいけません。「できれば静かにしてほしいんだけど」では弱すぎます。
また、注意する際は、感情的にならず、淡々と伝えます。怒鳴ると、生徒は「怒られた」という記憶だけが残り、なぜ注意されたのかが伝わりません。冷静に、しかし厳しく「これはルール違反です。次回も同じことをしたら、保護者に連絡します」と伝えます。
さらに、注意した後は必ずフォローします。「さっきは注意したけど、その後はちゃんと集中できていたね」と声をかけることで、生徒は「ルールを守れば認めてもらえる」と理解します。
注意を躊躇すると状況は悪化します。「今日は見逃そう」「次からちゃんとすればいい」と甘い対応をすると、生徒は「この先生は甘い」と判断し、さらに態度が悪化します。
また、注意する際は、他の生徒の前で行うか、個別に呼んで行うかを判断します。軽微な注意は授業中に全体の前で行い、深刻な問題は授業後に個別に話すことが効果的です。
毅然とした態度で接することで、生徒は講師を尊敬し、敬意を持つようになります。
これらの対策を実践しても改善しない場合は、次の段階に進む必要があります。
改善しない場合の対応
対策を実践しても生徒の態度が改善しない場合、さらに踏み込んだ対応が必要です。
1つ目は保護者面談の実施です。生徒本人への注意だけでは改善しない場合、保護者に状況を説明し、家庭と連携して対応します。2つ目は退塾も視野に入れる判断です。教室全体に悪影響を及ぼす生徒については、退塾をお願いすることも選択肢になります。
改善しない場合の対応は慎重に進める必要がありますが、放置すると教室全体が崩壊するため、決断することも重要です。
それぞれの対応について、詳しく見ていきましょう。
保護者面談の実施
生徒の態度が改善しない場合、保護者面談を実施します。
面談では、まず生徒の現状を客観的に説明します。「〇月〇日に私語で注意、〇月〇日にも同様の行為」など、具体的な日時と行為を記録しておき、それをもとに説明します。感情的にならず、事実を淡々と伝えることが重要です。
次に、このままでは成績向上が難しいことを伝えます。「授業に集中できていないため、成績が伸び悩んでいます」「他の生徒の学習環境にも悪影響が出ています」など、具体的な影響を説明します。
そして、家庭での協力を求めます。「ご家庭でも、塾でのルールを守ることの重要性を話していただけますか」「スマホの使用時間を制限するなど、生活習慣の見直しをお願いできますか」など、具体的な協力内容を提案します。
保護者面談で状況が好転するケースは多いです。保護者が塾での様子を知らず、家では良い子にしているというケースもあります。面談で実態を知った保護者が、家庭で厳しく指導してくれることもあります。
ただし、保護者の中には「うちの子がそんなことをするはずがない」と塾側の説明を信じない人もいます。そうした場合に備えて、記録を残しておくことが重要です。授業中の態度、注意した内容、改善状況などを記録しておけば、客観的な証拠として示せます。
また、面談の際は、生徒の良い点も必ず伝えます。「〇〇の教科では頑張っています」「△△の単元はよく理解できています」など、ポジティブな面も伝えることで、保護者との信頼関係を保てます。
保護者面談を通じて、家庭と連携して対応することが重要です。
それでも改善しない場合は、最終的な判断が必要になります。
退塾も視野に入れる判断基準
保護者面談を行っても改善が見られない場合、退塾をお願いすることも選択肢になります。
退塾を検討する判断基準は、以下のようなケースです。
まず、教室全体に悪影響を及ぼしている場合です。1人の生徒の態度が悪いことで、他の生徒も影響を受け、教室全体の雰囲気が悪化している場合、その生徒を残すことは他の生徒に対して不公平です。
次に、講師への暴言や暴力がある場合です。講師に対して暴言を吐いたり、物を投げたりする行為は、絶対に許容できません。こうした行為があった場合、即座に保護者に連絡し、改善が見られなければ退塾をお願いします。
さらに、保護者の協力が得られない場合です。保護者が塾の方針に理解を示さず、「うちの子は悪くない」「先生の指導が悪い」と塾側を責める場合、改善は見込めません。保護者と信頼関係が築けない状態では、教育効果も期待できません。
退塾をお願いすることは非常に辛い決断です。しかし、1人の生徒のために教室全体が犠牲になることは避けなければなりません。
退塾をお願いする際は、丁寧に説明します。「何度も改善をお願いしてきましたが、状況が変わらないため、当塾では対応が難しいと判断しました」「他の生徒の学習環境を守る責任もあるため、このような決断をさせていただきました」など、理由を明確に伝えます。
また、可能であれば、他の塾を紹介することも検討します。「個別指導の方が合うかもしれません」「別の指導スタイルの塾を試してみてはいかがでしょうか」など、建設的な提案をすることで、保護者の理解を得やすくなります。
退塾も視野に入れる判断は、教室運営者としての重要な責任です。
塾の生徒が敬意ない原因と対処法、改善しない場合の対応まで解説してきました。生徒が敬意を持たない状況は、講師の指導力不足、教室の雰囲気作りの失敗、最初の関係性の作り方の甘さが主な原因です。初回授業での威厳の示し方、ルールの明確化と徹底、毅然とした態度で接することで、生徒は講師に敬意を持つようになります。それでも改善しない場合は、保護者面談を実施し、最終的には退塾も視野に入れる判断が必要です。教室全体の学習環境を守るため、早めの対応を心がけましょう。


