生徒が志望校に不合格になり、保護者への謝罪や対応に悩んでいる塾経営者の方は多いでしょう。
不合格という結果に対して、塾としてどこまで責任を負うべきなのかわからない。 謝罪の仕方を間違えると、かえって保護者の怒りを買い、クレームになってしまう。 そんな不安を抱えていませんか。
本記事では、10年間学習塾を運営してきた経験から、不合格時に謝罪が必要なケース、適切な謝罪の仕方とタイミング、謝罪後のフォローと再発防止策、謝罪すべきでないケースまで詳しく解説します。
不合格という結果に対して、塾としての適切な対応を理解することで、保護者との信頼関係を維持し、次につなげることができます。
不合格時に謝罪が必要なケースは?
不合格時に謝罪が必要なケースは、塾側に明らかな落ち度がある場合に限られます。
まず、カリキュラムの不備です。受験に必要な範囲を教えていなかった、重要単元を飛ばしていたなど、指導内容に問題があった場合は謝罪が必要です。次に、進路指導のミスです。生徒の実力を見誤って無理な志望校を勧めた、入試情報を間違えて伝えたなどの場合も謝罪すべきです。最後に、講師の指導不足です。授業の質が著しく低い、宿題の添削をしていない、生徒の質問に答えていないなど、サービスとして不十分だった場合も謝罪が必要です。
これらのケースに該当するかを冷静に判断することが重要です。
それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。
カリキュラムの不備
受験に必要な範囲を教えていなかった場合、塾側の責任として謝罪が必要です。
例えば、志望校の入試で毎年出題される分野があるのに、その分野を全く教えていなかった場合、明らかに塾側の落ち度です。入試分析が不十分で、重要単元を見落としていた、カリキュラムの進行が遅れて最後まで終わらなかったなど、塾の準備不足が原因です。
また、教材の選定ミスも該当します。志望校のレベルに合わない簡単すぎる教材を使っていた、逆に難しすぎる教材で生徒がついていけなかったなど、適切な教材を提供できなかった場合も塾の責任です。
さらに、授業時間や授業回数が不足していた場合も問題です。「週2回の授業では足りなかったのに、保護者に増コマを提案しなかった」「夏期講習の時間数が他塾に比べて明らかに少なかった」など、必要な指導量を提供できなかった場合、塾側の落ち度と言えます。
ただし、カリキュラムは適切だったが、生徒が授業を休みがちだった、宿題をやってこなかったという場合は、塾側の責任ではありません。提供したカリキュラムを生徒が受けていなかった場合、謝罪の必要はありません。
カリキュラムの不備があった場合、塾側の責任として謝罪します。
次に、進路指導のミスについても見ていきましょう。
進路指導のミス
生徒の実力を見誤って無理な志望校を勧めた場合、謝罪が必要です。
模試の結果で偏差値が50なのに、偏差値60の高校を「頑張れば受かる」と強く勧めた場合、塾側の判断ミスです。保護者は塾の意見を信頼して志望校を決めているため、無責任な進路指導は塾の落ち度です。
また、入試情報の誤りも重大なミスです。「推薦入試の基準を間違えて伝えた」「入試日程を間違えて出願できなかった」「合格最低点の情報が古く、実際はもっと高かった」など、情報の誤りで不合格になった場合、塾側の責任は重大です。
さらに、併願校の選定ミスも該当します。「滑り止めのはずの高校が、実は難易度が上がっていて不合格だった」「併願校を1校も受けさせず、第一志望だけ受験させて不合格だった」など、リスク管理ができていなかった場合も塾側のミスです。
ただし、塾が「この高校は厳しい」と正しく伝えたにも関わらず、保護者や生徒が「どうしても受けたい」と主張して受験した場合、塾側の責任ではありません。適切な助言をしたが、本人の意思で受験した結果の不合格には、謝罪の必要はありません。
進路指導のミスがあった場合、塾側の責任として謝罪します。
最後に、講師の指導不足についても見ていきましょう。
講師の指導不足
授業の質が著しく低かった場合、謝罪が必要です。
講師が授業中にずっとスマホを見ていた、生徒が質問しても答えられなかった、毎回遅刻してきたなど、プロとして失格なレベルの指導だった場合、塾側の責任です。保護者は高い月謝を払っているのに、それに見合うサービスを提供できなかったことになります。
また、宿題の添削をしていなかった、テストの解説をしなかったなど、やるべきことをやっていなかった場合も塾側の落ち度です。「宿題は出すが添削しない」「テストは受けさせるが解説しない」では、生徒の成長につながりません。
さらに、講師の頻繁な交代も問題です。受験直前に担当講師が辞めて、引き継ぎもなく別の講師に変わった場合、生徒は混乱します。講師の管理ができていなかったことは、塾側の責任です。
ただし、講師の指導は適切だったが、生徒が授業態度が悪く真面目に取り組まなかった場合、塾側の責任ではありません。講師が何度注意しても改善されない場合、それは生徒側の問題です。
講師の指導不足があった場合、塾側の責任として謝罪します。
不合格時に謝罪が必要なケースを理解したら、次は謝罪の仕方とタイミングを見ていきましょう。
謝罪の仕方とタイミング
謝罪の仕方とタイミングは、不合格発表直後の連絡、対面での謝罪、具体的な改善策の提示の3つが重要です。
まず、不合格発表直後の連絡です。保護者が不合格を知ったら、できるだけ早く塾から連絡を入れます。次に、対面での謝罪です。電話やLINEだけで済ませず、直接会って謝罪することが誠意を示します。最後に、具体的な改善策の提示です。ただ謝るだけでなく、今後どう改善するかを伝えます。
これらの対応を適切に行うことで、保護者の怒りを和らげ、信頼を取り戻せます。
それぞれの対応について、詳しく見ていきましょう。
不合格発表直後の連絡
保護者が不合格を知ったら、できるだけ早く塾から連絡を入れます。
不合格発表の日、保護者から塾に連絡が来る前に、塾側から連絡することが望ましいです。「結果はどうでしたか」と確認の連絡を入れ、不合格だった場合は「大変残念な結果となってしまい、申し訳ございません」とまず謝罪します。
この時、電話で話すのが理想ですが、保護者が感情的になっている場合、LINEやメールで「お話ししたいことがあるので、落ち着かれたらお電話いただけますでしょうか」と伝えるのも一つの方法です。
連絡の際は、保護者の気持ちに寄り添います。「お子様も、保護者様も、大変悔しい思いをされていると思います」と共感を示し、「私たちも力不足で、本当に申し訳ございませんでした」と謝罪します。
ただし、この段階では長々と説明しません。「詳しくお話ししたいので、後日改めてお時間をいただけますでしょうか」と、対面での面談をお願いします。電話やLINEだけで済ませると、「逃げている」と思われる可能性があります。
不合格発表直後にすぐ連絡することで、塾側の誠意を示します。
次に、対面での謝罪が重要です。
対面での謝罪
電話やLINEだけで済ませず、直接会って謝罪することが誠意を示します。
不合格発表から数日以内に、保護者と生徒を塾に呼び、対面で謝罪します。塾長自らが出席し、「この度は、お子様の志望校合格を実現できず、誠に申し訳ございませんでした」と頭を下げます。
謝罪の際は、塾側の落ち度を明確にします。「カリキュラムの進行が遅れ、最後まで範囲を終えられなかったことが原因です」「進路指導で、お子様の実力を正確に把握できていませんでした」など、具体的に何が問題だったかを説明します。
ただし、言い訳をしません。「生徒さんが宿題をやってこなかったので」「授業を休みがちだったので」など、生徒側の問題を持ち出すのは、謝罪の場では不適切です。たとえそれが事実でも、謝罪の際は塾側の反省に徹します。
また、保護者の怒りや悲しみを受け止めます。保護者が「なんでこんなことになったんですか!」と感情的になっても、遮らずに最後まで聞きます。「おっしゃる通りです」「私たちの責任です」と受け止め、保護者の気持ちを吐き出させます。
対面での謝罪で、塾側の誠意を伝えます。
最後に、具体的な改善策の提示が必要です。
具体的な改善策の提示
ただ謝るだけでなく、今後どう改善するかを伝えます。
謝罪の場では、「申し訳ございませんでした」と謝るだけでなく、「今後、同じことが起こらないように、以下の対策を取ります」と改善策を提示します。
例えば、カリキュラムの不備が原因だった場合、「来年度から、入試範囲を完全にカバーするカリキュラムに見直します」「進行状況を毎月チェックし、遅れが出た場合は補習を行います」と具体的な対策を説明します。
進路指導のミスが原因だった場合、「模試の結果をより慎重に分析し、複数の講師で合議して志望校を決定します」「併願校は必ず2校以上受験するよう指導します」と改善策を提示します。
講師の指導不足が原因だった場合、「講師の研修を強化します」「授業の品質チェックを定期的に行います」「担当講師を変更し、より経験豊富な講師が指導します」と対応を説明します。
また、生徒への補償も提案します。「次の受験に向けて、無料で指導を継続します」「春期講習を無料で提供します」「月謝を一部返金します」など、金銭的・サービス的な補償を提示することで、誠意を示します。
具体的な改善策の提示で、保護者の信頼を取り戻します。
謝罪の仕方とタイミングを理解したら、次は謝罪後のフォローを見ていきましょう。
謝罪後のフォローと再発防止
謝罪後のフォローは、生徒へのケア、保護者との関係維持、塾内の再発防止策の3つが重要です。
まず、生徒へのケアです。不合格で傷ついている生徒を精神的にサポートします。次に、保護者との関係維持です。謝罪後も定期的に連絡を取り、関係を修復します。最後に、塾内の再発防止策です。同じミスを繰り返さないための仕組みを作ります。
これらのフォローを行うことで、不合格という結果を次につなげることができます。
それぞれのフォローについて、詳しく見ていきましょう。
生徒へのケア
不合格で傷ついている生徒を精神的にサポートします。
不合格の後、生徒は大きなショックを受けています。自信を失い、「自分はダメだ」と落ち込んでいることも多いです。塾としては、生徒の気持ちに寄り添い、前向きな気持ちを取り戻す支援をします。
まず、生徒と個別に話す時間を作ります。「今回は残念な結果だったけど、君はよく頑張ったよ」と努力を認め、「この経験は、必ず次に活きる」と前向きなメッセージを伝えます。
次に、次の目標を提示します。「併願校で頑張ろう」「高校に入ってからリベンジしよう」「大学受験で第一志望に合格しよう」と、新しい目標を示すことで、生徒が前を向けるようにします。
また、継続的なサポートを提案します。「高校に入ってからも、塾で勉強を続けよう」「次の受験に向けて、一緒に頑張ろう」と、塾が見捨てないことを伝えます。
さらに、他の生徒への配慮も必要です。不合格だった生徒が他の生徒の合格報告を聞いて辛い思いをしないよう、合格発表の掲示や報告のタイミングに気を配ります。
生徒へのケアで、精神的な回復を支援します。
次に、保護者との関係維持も重要です。
保護者との関係維持
謝罪後も定期的に連絡を取り、関係を修復します。
謝罪した後、「あとは知りません」という態度を取ると、保護者の怒りは増します。謝罪後も、定期的に連絡を取り、「その後、お子様の様子はいかがでしょうか」と気にかけていることを示します。
生徒が次の学校に進学したら、「新しい学校には慣れましたか」「何か困っていることはありませんか」と連絡を入れます。塾を辞めた場合でも、数ヶ月に一度は連絡を取り、関係を維持します。
また、兄弟姉妹がいる場合は、その子への対応も丁寧にします。「お兄ちゃんの時は力になれず申し訳ありませんでしたが、弟さんは絶対に志望校に合格させます」と伝え、信頼を取り戻す機会にします。
さらに、合格実績の報告も慎重に行います。同じ学年で他の生徒が合格した場合、その報告を不合格だった保護者に送ると、不快に思われる可能性があります。一斉送信のメールやLINEには含めず、個別に配慮します。
保護者との関係維持で、長期的な信頼を築きます。
最後に、塾内の再発防止策が必要です。
塾内の再発防止策
同じミスを繰り返さないための仕組みを作ります。
不合格の原因を分析し、塾内で共有します。「今回の不合格は、カリキュラムの進行が遅れたことが原因でした」「進路指導で生徒の実力を見誤りました」と事実を明確にし、全講師で反省します。
そして、具体的な再発防止策を実施します。カリキュラムの不備が原因だった場合、「毎月、カリキュラムの進行状況をチェックする」「遅れが出た場合は、すぐに補習を入れる」というルールを作ります。
進路指導のミスが原因だった場合、「模試の結果を複数の講師で分析する」「志望校決定は、塾長を含めた会議で決める」という仕組みを導入します。
講師の指導不足が原因だった場合、「授業の品質チェックを定期的に行う」「保護者アンケートで講師の評価を確認する」「問題がある講師には研修を義務付ける」という対策を取ります。
また、不合格が出た場合の対応マニュアルも作成します。「不合格発表後、24時間以内に保護者に連絡する」「1週間以内に対面で謝罪する」「改善策を文書で提出する」など、標準的な対応を決めておきます。
塾内の再発防止策で、組織としての信頼性を高めます。
謝罪後のフォローを理解したら、最後に謝罪すべきでないケースを見ていきましょう。
謝罪すべきでないケース
謝罪すべきでないケースは、塾側に落ち度がない場合、生徒側の問題が原因の場合、無理な志望校を強行した場合の3つです。
まず、塾側に落ち度がない場合です。適切なカリキュラムを提供し、正しい進路指導をしたにも関わらず不合格だった場合、塾側の責任ではありません。次に、生徒側の問題が原因の場合です。授業をサボる、宿題をやらない、テストで不正行為をするなど、生徒側に問題があった場合も塾側の責任ではありません。最後に、無理な志望校を強行した場合です。塾が反対したにも関わらず、保護者や生徒が「どうしても受けたい」と主張して受験した結果の不合格には、塾側の責任はありません。
これらのケースでは、安易に謝罪すると、かえって問題が大きくなります。
それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。
塾側に落ち度がない場合
適切なカリキュラムを提供し、正しい進路指導をしたにも関わらず不合格だった場合、謝罪の必要はありません。
塾は、受験に必要な範囲を全て教え、適切な教材を使い、十分な授業時間を確保し、模試の結果を基に正確な進路指導をしたとします。それでも、入試本番で生徒が実力を発揮できなかった、たまたま苦手な問題が多く出た、競争率が予想以上に高かったなど、塾側ではコントロールできない理由で不合格になることがあります。
このような場合、塾側に落ち度はありません。「残念な結果となってしまいましたね」と共感を示すことは必要ですが、「申し訳ございませんでした」と謝罪する必要はありません。
もし保護者が「塾のせいで落ちた」と言ってきた場合、冷静に事実を説明します。「必要な範囲は全て指導しました」「模試の結果から、この志望校は適切と判断しました」「入試本番で、たまたま苦手な分野が多く出たことが原因と考えられます」と、塾側に落ち度がないことを伝えます。
安易に謝罪すると、「塾が悪かった」と認めたことになり、後から月謝の返金や損害賠償を要求される可能性があります。塾側に落ち度がない場合は、謝罪しないことが重要です。
塾側に落ち度がない場合、謝罪せず事実を伝えます。
次に、生徒側の問題についても見ていきましょう。
生徒側の問題が原因の場合
授業をサボる、宿題をやらない、テストで不正行為をするなど、生徒側に問題があった場合も謝罪の必要はありません。
塾側は適切な指導を提供したが、生徒が授業を頻繁に休む、宿題を全くやってこない、授業中に寝ている、スマホをいじっているなど、生徒側の態度に問題があった場合、塾側の責任ではありません。
このような場合、塾は何度も注意し、保護者にも報告してきたはずです。それでも改善されず、結果として不合格になったのであれば、それは生徒側の問題です。
もし保護者が「塾のせいだ」と言ってきた場合、記録を示します。「授業の出席率は60%でした」「宿題の提出率は30%でした」「授業中の態度について、〇月〇日にご報告しました」と、客観的な事実を提示します。
ただし、この説明は冷静に、事務的に行います。「だからお子さんが悪いんです」という責める態度を取ると、保護者の怒りを買います。「私たちも、もっと厳しく指導すべきだったかもしれませんが、お子様の学習態度を改善することはできませんでした」と、事実を淡々と伝えます。
生徒側の問題が原因の場合、謝罪せず事実を説明します。
最後に、無理な志望校を強行した場合についても見ていきましょう。
無理な志望校を強行した場合
塾が反対したにも関わらず、保護者や生徒が「どうしても受けたい」と主張して受験した結果の不合格には、謝罪の必要はありません。
模試の結果で偏差値が50なのに、偏差値65の高校を受けたいと生徒が言い、塾が「厳しいです」「もう少し現実的な志望校を考えましょう」と助言したにも関わらず、「どうしてもこの高校に行きたい」と強行した場合、不合格になっても塾側の責任ではありません。
このような場合、面談の記録が重要です。「〇月〇日の面談で、この志望校は厳しいとお伝えしました」「より合格可能性の高い△△高校を提案しましたが、ご本人の強い希望で〇〇高校を受験されました」と、記録があれば、塾側の責任ではないことを証明できます。
もし保護者が「塾が大丈夫だと言ったから受けた」と主張してきた場合、記録を示します。ただし、「だからあなたたちの責任です」という言い方ではなく、「私たちは厳しいとお伝えしましたが、ご本人の強い意志を尊重しました」と、丁寧に説明します。
無理な志望校を強行した場合、謝罪せず記録を示します。
塾の不合格謝罪について、謝罪が必要なケース、謝罪の仕方とタイミング、謝罪後のフォロー、謝罪すべきでないケースまで解説してきました。不合格時に謝罪が必要なケースは、カリキュラムの不備、進路指導のミス、講師の指導不足など、塾側に明らかな落ち度がある場合に限られます。謝罪の仕方は、不合格発表直後の連絡、対面での謝罪、具体的な改善策の提示が重要です。謝罪後は、生徒へのケア、保護者との関係維持、塾内の再発防止策を実施します。塾側に落ち度がない場合、生徒側の問題が原因の場合、無理な志望校を強行した場合は、謝罪すべきではありません。適切な判断と対応で、不合格という結果を次につなげることができます。

